公開資料の解説・2026年10月12日更新
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TreeeSの最新動向:2027年1月の名古屋先行導入と、登録・調達の動き

2026年10月12日時点で公表資料から確認できるTreeeSの導入予定、登録関係の改修予定、裁判所の調達手続を、日付と出典つきで整理します。予定と、まだ公表されていない事項を分けて記載します。

2026年10月12日時点の要点

  • 民事訴訟の電子申立ての窓口は、現在もmintsです。裁判所のTreeeS研修環境にも、民事訴訟の電子申立てにはmintsを使うよう表示されています。
  • 先行導入は、2027年1月に名古屋高裁本庁と、名古屋地裁・簡裁の管内(支部を含む)で予定されています(愛知県弁護士会の案内)。全国では、2027年度中の運用開始が計画されています(最高裁の調達資料)。
  • 登録関係では、仮登録期間を14日間から28日間に伸ばす改修などが予定されています。完成時期は「ユーザ仮登録期間の開始時まで(R8.10末)」とされていますが、登録受付の開始日を案内したものではありません。
  • 裁判所では、運用保守等の意見招請(10月16日まで)と、ヘルプデスク業務の入札公告(技術審査願の提出期限は10月26日正午)が進んでいます。

2027年1月、名古屋で先行導入

愛知県弁護士会の会員向け案内(2026年5月15日付)は、2027年(令和9年)1月から、名古屋高裁本庁と、名古屋地裁・簡裁の管内(支部を含む)でTreeeSの先行導入がなされると記載しています。同じ案内は、同年1月以降に弁護士が代理人として同管内に民事訴訟を提起する場合、mintsではなくTreeeSを用いる必要があると説明しています。

最高裁の資料も、この時期と整合しています。2026年4月の調達資料(追加機能改修)には、改修の完成時期として「R8年度中の一部の庁を対象としたシステム導入開始(R9.1)まで」という記載があります。2026年6月の調達資料は、TreeeSについて、令和8年度中に一部の裁判所で、令和9年度中に全国の裁判所で運用を開始する予定としています。どちらの調達資料にも、対象の庁名は記載されていません。

一方で、既に係属している事件の扱い、mintsの事件情報の引継ぎ、名古屋以外の裁判所ごとの開始日は、2026年10月12日時点で公表資料を確認できていません。最高裁判所のウェブサイト上で名古屋の先行導入を案内するページも、同日時点では確認できていません。名古屋の管内で訴えを提起する予定がある事務所は、裁判所と所属弁護士会の案内で、対象となる事件と開始日を確認してください。

名古屋で告知されている裁判所の説明会

愛知県弁護士会は、上記の案内で、名古屋高裁と名古屋地裁によるTreeeSの説明会(2026年6月23日、会場とZoomウェビナーの同時開催)を告知しました。内容としては、先行導入の概要と今後の導入展開のスケジュール、TreeeSの概要、GビズIDの取得に向けた案内、研修用アカウントの配付の流れと利用上の留意事項が予定されていました。ウェビナーには事務職員も参加でき、研修動画は後日、同会の会員専用サイトに掲載する予定とされています。

同会の研修カレンダー(会員向けの申込ページ)には、2026年11月9日に「裁判所によるTreeeSの説明会②(運用協議)」が、会場、ウェビナー、事務職員向けウェビナーの3区分で掲載されていました(2026年10月6日に当社で確認)。説明の内容は当社では確認できていません。

名古屋の管内で事件を扱う事務所は、弁護士だけでなく事務職員も説明会の案内を確認し、受講後は確認できた事項と未確認の事項を分けて所内で共有することを勧めます(編集部の提案)。告知の読み方は説明会の告知から分かることで解説しています。

利用者に関係する改修の予定(登録関係を含む)

最高裁の2026年4月の調達資料(追加機能改修の改修作業一覧ほか)には、利用者の登録や、提出・閲覧の画面に関係する改修が含まれています。次の表は、受注者に求める改修の内容と、資料に記載された完成時期を整理したものです。

改修の内容資料に記載された完成時期
仮登録期間を14日間から28日間に伸ばす(個人・法人共通)ユーザ仮登録期間の開始時まで(R8.10末)
ユーザ登録画面の文言の修正(本人確認書類の郵送先の表示を「最高裁判所」から「最寄りの裁判所」などに改めること、法人・士業者の画面にGビズIDを使うかどうかは最初に決める必要がある旨の注意文言を加えることなど)ユーザ仮登録期間の開始時まで(R8.10末)
フォーム提出で選べる裁判所を、提出できる裁判所だけに絞って表示する(一時的な対応)ユーザの本登録が想定される時期まで(R8.12.15目途)
アカウントを一括で有効化するツールを作る(CSVを読み込む方式)ユーザの本登録が想定される時期まで(R8.12.15目途)
当事者情報の入力画面で「登録ユーザ情報を反映する」ボタンの動作を修正する一部の庁を対象としたシステム導入開始(R9.1)まで
「第三者」の権限で訴訟記録一覧を閲覧できるようにするできればR9.1まで、遅くともR9.3まで
アクセシビリティへの対応遅くともR9.3まで

出典:最高裁・2026年4月3日追加機能改修公募・調達仕様書(別紙「改修作業一覧」と補足資料)

「R8.10末」「R8.12.15目途」は、仮登録期間の開始や本登録が想定される時期として調達資料に記載されたものです。登録受付の開始日を利用者に案内したものではないため、実際の登録は裁判所と所属弁護士会の案内に従ってください。

GビズIDを使わずにユーザIDを取得した後で、GビズIDを使う方法に切り替えることはできない旨の注意文言が予定されていることから、法人・士業者として登録する場合は、GビズIDを使うかどうかと、事務職員をどの区分で登録するかを、事務所として先に決めておくことを勧めます(編集部の提案)。本ガイドが2026年10月10日に確認した当事者用操作マニュアルVer.2.0(2026年8月31日発行、暫定版)の内容は、利用者登録に備えて情報を整理するで紹介しています。

運用に向けた調達手続(2026年9月から10月)

最高裁の「入札情報(システム関係)」には、2026年10月12日時点で、次のシステム案件が掲載されています。

案件名手続と期間
e提出・e記録管理システム及びe事件管理システムの運用保守等意見招請(一般競争入札・総合評価落札方式)
意見招請期間:2026年9月25日から10月16日まで
民事裁判書類電子提出システムに係るクラウド基盤の提供及び運用・保守意見招請(一般競争入札・総合評価落札方式)
意見招請期間:2026年9月25日から10月16日まで
民事訴訟手続のデジタル化に係るe提出・e記録管理システムに係るヘルプデスク業務入札公告(一般競争入札・最低価格落札方式)
公告期間:2026年9月4日から12月4日まで
技術審査願の提出期限:10月26日正午

出典:最高裁判所・入札情報(システム関係)(2026年10月12日確認)

e提出・e記録管理システム(TreeeS)の運用保守やヘルプデスクの調達は、運用に向けた準備が進んでいることの手掛かりにはなりますが、利用開始日や対象事件を示すものではありません(編集部の見方)。民事裁判書類電子提出システム(mints)のクラウド基盤についても同じ期間に意見招請が行われています。mintsの利用終了時期は、公表資料で確認できていません。調達資料の読み方は調達仕様書を実務家が読むときの順序で解説しています。

なお、本ガイドを運営するAILEX合同会社は、このうち運用保守等の意見招請に対し、2026年10月12日に意見書を送付しました(当社のお知らせ)。意見書の送付は、最高裁判所による意見の採用や、当社との提携を示すものではありません。

時系列(公表資料と予定)

日付は、資料の発行日か、資料に記載された時期です。「予定」は資料に記載された計画で、確定した日程ではありません。

時期出来事
2026年4月3日最高裁がTreeeS・RoootSの追加機能改修を公募。登録関係の改修と、一部の庁を対象としたシステム導入開始(R9.1)に向けた完成時期を記載
出典:最高裁・調達資料
2026年5月15日愛知県弁護士会が、2027年1月からの名古屋高裁本庁と、名古屋地裁・簡裁の管内(支部を含む)での先行導入(同案内では既に案内済みの事項として記載)と、裁判所による説明会を会員に案内
出典:愛知県弁護士会
2026年5月21日改正民事訴訟法・改正民事訴訟規則の全面施行。電子申立て等はmintsで行う。日弁連の会長声明が、TreeeS導入後に申立て方法の異なる事件が併存する点への注意を指摘
出典:裁判所・日弁連
2026年6月9日最高裁が後見法改正等への対応に関する改修を公募。TreeeSは令和8年度中に一部、令和9年度中に全国の裁判所で運用開始予定と記載
出典:最高裁・調達資料
2026年6月23日名古屋高裁・名古屋地裁による説明会(愛知県弁護士会の案内による)
出典:愛知県弁護士会
2026年9月4日ヘルプデスク業務の入札公告(技術審査願の提出期限は10月26日正午)
出典:最高裁・入札情報
2026年9月25日運用保守等と、mintsのクラウド基盤について意見招請(10月16日まで)
出典:最高裁・入札情報
2026年10月末(予定)ユーザ仮登録期間の開始時期として、調達資料に記載された時期(R8.10末)
出典:最高裁・調達資料
2026年11月9日(予定)愛知県弁護士会の研修カレンダーに「裁判所によるTreeeSの説明会②(運用協議)」の掲載(2026年10月6日に当社で確認)
出典:愛知県弁護士会(会員向け)
2026年12月15日目途(予定)ユーザの本登録が想定される時期として、調達資料に記載された時期
出典:最高裁・調達資料
2027年1月(予定)名古屋高裁本庁と、名古屋地裁・簡裁の管内(支部を含む)で先行導入
出典:愛知県弁護士会(時期は、最高裁の2026年4月の調達資料の「一部の庁を対象としたシステム導入開始(R9.1)」と整合。調達資料に庁名の記載はありません)
2027年度中(予定)全国の裁判所で運用開始
出典:最高裁・調達資料
2028年3月(予定)家事事件手続等への対応改修と、法人ベース・レジストリ連携改修のリリース
出典:最高裁・調達資料
2028年6月まで(予定)人事訴訟・家事事件・非訟等の手続が、オンライン申立て等の対象となる予定
出典:裁判所「民事裁判手続のデジタル化」

2026年10月12日時点で公表を確認できていないこと

  • 名古屋以外の裁判所ごとの開始日と、全国で導入が進む順序
  • 既に係属している事件(mintsや紙で進んでいる事件)を、どの仕組みで進めるか
  • mintsのアカウントや事件情報をTreeeSへ引き継ぐ範囲(mintsと同じメールアドレスを使う登録案内は、IDや事件情報が自動的に引き継がれることを意味しません)
  • mintsの利用終了時期
  • 登録受付の開始日(名古屋を含む)と、本番で使う最終版の操作マニュアル(本ガイドで確認した当事者用操作マニュアルは、Ver.2.0の暫定版です)
  • 民間のサービスとTreeeSを接続する外部APIの提供の有無

本ガイドは、これらの事項を推測で補いません。公表資料を確認でき次第、このページに追記します。

いま事務所で進められること(編集部の提案)

これらは事務所内の準備の提案で、裁判所が指定する手順ではありません。準備の状況は導入準備チェックリストで確認できます。

実務チェック

  • 名古屋の管内で提起予定の事件を洗い出す
  • 登録でGビズIDを使うかどうかの方針を決める
  • 説明会と登録案内を確認する担当を決める

出典・参照資料

資料に記載された計画・制度と、本ページの実務提案は区別してお読みください。確認日は2026年10月12日です(研修カレンダーは2026年10月6日)。

編集方針・出典の扱い

この更新で追記した記事

基礎知識

先行導入は何を意味するか

限られた範囲で始まる先行導入は、全国の運用をそのまま表すものではありません。経験から学べることと、他地域で再確認すべきことを分けます。

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導入・移行

先行対象地域の事務所が準備する順序

先行対象となる場合は、利用条件の確認と所内の学習を同時に進める必要があります。過度に先回りせず、実案件を守りながら経験を蓄積する方法です。

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登録・権限

利用者登録に備えて情報を整理する

TreeeSの登録準備で先にできるのは、正しい本人・所属情報を揃えることです。公開セルフトレーニング環境には、利用者種別ごとの登録を説明する暫定操作マニュアルがあります。

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基礎知識

説明会の告知から分かること

説明会や研修の開催は準備の進展を知る手掛かりですが、運用開始の確定通知とは異なります。告知を適切に使うための読み方です。

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導入・移行

新規事件と継続事件を分けて準備する

新しく始まる事件と既に係属している事件では、確認すべき移行情報が異なります。一つの開始日で全案件を切り替えないための準備案です。

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基礎知識

調達仕様書を実務家が読むときの順序

調達仕様書は開発事業者に求める内容を説明する資料です。利用者向けマニュアルとは目的が違うことを踏まえ、業務準備に使える情報を抽出します。

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AILEX / 検証可能なAIリーガルOS

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