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検証可能AIの標準化活動

VAP / LAP ─ IETF Internet-DraftActive(第04版)

状況(2026年9月30日時点):draft-ailex-vap-legal-ai-provenance の最新版は第04版(2026年9月30日公開)で、IETF Datatracker 上で有効(Active)です。有効期限は2027年4月3日です。Internet-Draft は提案段階の文書であり、IETF による承認・標準化を意味するものではありません。Datatracker で確認する

AILEX は、法律 AI の判断過程を暗号学的に検証可能にする技術仕様を策定し、インターネット技術の標準化団体である IETF に Internet-Draft として提出しました。「便利な司法 AI」ではなく「検証可能な司法 AI」の実現を目指す活動です。

文書名
draft-ailex-vap-legal-ai-provenance
正式タイトル
Verifiable AI Provenance (VAP) Framework and Legal AI Profile (LAP)
初版提出
2026年2月14日(第00版・26ページ)
最新版
第04版(2026年9月30日)─ 有効期限 2027年4月3日
カテゴリ
Experimental(個人提出)
提出者
AILEX合同会社
全文
IETF Datatracker

なぜ「検証可能性」が必要なのか

AI の法律分野への活用が世界的に加速しています。契約書レビュー、判例検索、訴訟戦略の立案まで、AI は弁護士の業務を大きく変えつつあります。その一方で、「AI がどのような根拠で、その回答を生成したのか」を第三者が技術的に検証する手段がないという問題は未解決のままです。

弁護士が AI の出力を精査し修正を加えたとしても、その過程の記録は各システムの独自形式に依存しており、裁判所や相手方代理人、依頼者が客観的に確認する術はありません。AI の「便利さ」だけが先行し、「信頼の技術的根拠」が欠けている─これが現在の司法 AI が抱える構造的な課題です。

すべての生成は記録され、すべての判断は検証できる。
─ AILEX が目指す「検証可能な AI リーガル OS」

VAP フレームワークと LAP(Legal AI Profile)

提出した Internet-Draft は 2 つの技術仕様で構成されています。AI の判断証跡を分野横断で扱う上位フレームワーク「VAP(Verifiable AI Provenance)」と、法律 AI 固有の要件を定義するドメインプロファイル「LAP(Legal AI Profile)」です。

  1. 01

    AI 生成過程の暗号学的記録

    AI モデルへの入力、生成された出力、使用したモデルのバージョンと設定を、ハッシュチェーンと電子署名で改ざんできない形で記録します。
    ※ 第03版の提出当時、AILEX の実装(従来版)は AI 送信前の個人情報マスキングを併用していました。現行の AILEX v2 は推論を日本国内で完結させる設計に変更し、送信前のマスキングは行いません。第04版では、実装状況の欄に v2 を追記しています。

  2. 02

    弁護士精査の証明可能性

    弁護士が AI 出力のどの部分を採用・修正・棄却したかを、暗号技術で検証できる証跡として保持します。AI 時代における弁護士の付加価値を技術的に可視化します。

  3. 03

    守秘義務との両立

    ハッシュに基づくプライバシー保護検証により、文書の内容を開示することなく「証跡が存在し、改ざんされていないこと」だけを第三者が検証できる設計です。

先行事例の調査

提出にあたり、リーガルテック/司法 AI を主目的とした IETF Internet-Draft の先行事例の有無を、5 つの独立した調査で確認しました(2026年2月14日時点)。

調査対象調査範囲法律 AI 特化の先行事例
IETF Internet-DraftDatatracker 全件検索 / API 網羅検索確認されず(5/5 一致)
IETF WG 活動SCITT / RATS / AIPREF 等 8 WG + IRTF 39 RG確認されず(5/5 一致)
ISO / IEC / IEEEISO/IEC 42001 / IEEE P7000 シリーズ等確認されず(5/5 一致)
OASIS / W3CLegalDocML / LegalRuleML / PROV 等文書標準のみ(AI 証跡なし)
ETSI / NISTCABCA / AI RMF / Traceability TR 等確認されず(5/5 一致)
学術論文arXiv / Google Scholar / ACM DL / IEEE Xplore直接の言及なし

留意事項:「先行事例が確認されなかった」ことは「先行事例が存在しない」ことを保証するものではありません。特定の調査範囲・日時における結果です。

経緯

  • 2025年12月VAP Framework v1.0 策定

    AI 判断証跡の分野横断フレームワーク初版。

  • 2026年1月VAP Framework v1.2 公開

    統一適合性レベル(Bronze / Silver / Gold)、外部アンカリング仕様、完全性不変条件パターン、プライバシー保護検証プロトコルを追加。

  • 2026年2月14日IETF Internet-Draft 第00版を提出

    「draft-ailex-vap-legal-ai-provenance-00」(全26ページ)。法律 AI 特化のドメインプロファイル(LAP)を含む技術仕様。

  • 2026年3月2日第03版を提出

    初版提出後の改版。

  • 2026年9月3日第03版が有効期限を経過(Expired)

    Internet-Draft の有効期間は提出から 6 か月。

  • 2026年9月30日第04版を公開(最新版)

    SCITT のアーキテクチャ文書が RFC 9943 として発行されたことに伴う参照の更新、実装状況への AILEX v2 の追記、表記の修正。技術的な内容の変更はありません。有効期限は2027年4月3日です(お知らせ)。

標準化が実現した先に描く未来

「便利だから使う」から「検証できるから信頼する」へ

この仕様が将来 RFC として採択された場合、司法 AI の信頼性に関する国際的な技術基盤が確立されることになります。「AI が法律業務に関与する際、その判断過程を誰もが検証できる」という原則が、国境を越えた共通言語として定着することを意味します。

弁護士が AI を活用して作成した法的文書について、「いつ、どの AI モデルが、どのような入力に基づいて生成し、弁護士がどの箇所をどう精査・修正したか」が暗号学的に検証できる証跡として残ります。AI の利用そのものではなく、AI の利用プロセスの品質が評価される時代への転換です。

AI が下書きを生成する時代において、弁護士の付加価値は「何を採用し、何を修正し、何を棄却したか」という精査の過程にあります。LAP はその精査を暗号学的に記録・証明することで、弁護士の知的作業を可視化し、正当に評価される仕組みを提供することを目指しています。

AILEX は、日本の弁護士制度が守ってきた守秘義務の厳格さと依頼者保護の伝統を AI 時代の信頼設計の礎とし、技術標準という形でその考え方を発信していきます。

関連リソース

重要:IETF Internet-Draft は標準化に向けた草案(Work in Progress)であり、IETF による承認・推奨を意味するものではありません。本ページに記載の将来構想は、標準化プロセスが完了した場合のビジョンであり、現時点で IETF による採択がなされたことを示すものではありません。本ページの内容は法的助言ではありません。

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