法律事務所の案件管理システムの選び方 ─ Excel管理との違いと 12 の確認点
要点(2026年10月25日時点):案件管理システム(事件管理システム)は、事件ごとに依頼者・相手方・期日・書面・証拠・報酬・連絡をまとめて管理する仕組みです。選ぶときは機能の数より先に、事件記録の保管場所、権限と情報遮断、操作の記録を確かめます。弁護士職務基本規程と弁護士情報セキュリティ規程が、事件の記録の扱いについて求めていることが判断の基準になります。
案件管理システムとは
事件ごとに、依頼者・相手方・期日と期限・書面・証拠・報酬と実費・依頼者とのやりとりを一か所にまとめて管理する仕組みです。「案件管理」「事件管理」「業務管理」など呼び方は製品によって異なりますが、中身の違いは呼び方では決まりません。最近は、資料の読み取りや書面の下書きに AI を使う機能を備えた製品も増えています。
Excel・紙の管理で起きやすいこと
件数が少ないうちは、Excel と共有フォルダで十分なこともあります。件数と人数が増えると、次のような場面で手間と見落としが増えます。
| 場面 | Excel・紙での管理 | システムでの管理 |
|---|---|---|
| 利益相反の確認 | 台帳を目で照合する。表記の揺れで見落とす | 受任前に当事者名で照合する |
| 期日・期限 | 手帳と表の二重管理。転記の漏れ | 裁判所の書面から読み取り、通知する |
| 記録の所在 | フォルダ・メール・紙に散らばる | 事件ごとに一か所に集まる |
| 共有 | どのファイルが最新か分からない | 全員が同じ情報を見る |
| 履歴 | 誰がいつ変えたかが残らない | 操作の記録が残る |
| 依頼者への報告 | 報告の時期を担当者の記憶に頼る | 報告の時期を知らせる |
規程が事件の記録について求めていること
システムを選ぶ前に、事件の記録の扱いについて規程が求めていることを確かめておきます。システムは、これを守るための道具です。
- 事件記録の保管・廃棄:保管・廃棄の際に、秘密とプライバシーに関する情報が漏れないよう注意する(弁護士職務基本規程 第18条)。
- 事務職員等の指導・監督:事務職員や司法修習生などが秘密を漏らし、又は利用しないよう指導・監督する(同 第19条)。
- 事件処理の報告:必要に応じて、事件の経過と帰趨に影響を及ぼす事項を依頼者に報告し、協議しながら進める(同 第36条)。
- 共同事務所での事件情報の記録:職務を行い得ない事件の受任を防ぐため、他の所属弁護士と共同して、取扱い事件の依頼者・相手方・事件名の記録などの措置を採るよう努める(同 第59条)。
- 情報セキュリティ:弁護士情報セキュリティ規程(2024年6月1日施行)は、取り扱う情報の安全を確保する措置と、そのための基本的な取扱方法(いわゆるキホトリ)を定めることを求めています。
選び方:12 の確認点
| 確認点 | 確かめること |
|---|---|
| 1. データの保管場所 | 国内か。どの事業者の、どの地域の設備か |
| 2. AI 機能の処理場所と学習 | AI 機能がある場合、推論が行われる場所と、入力が学習に使われないか |
| 3. 権限と情報遮断 | 事件ごとに見られる人を限定できるか。管理者の扱い |
| 4. 操作の記録 | 閲覧・変更・AI の利用が記録され、書き出せるか |
| 5. 利益相反の照合 | 受任前に、依頼者・相手方の名前で照合できるか |
| 6. 期日と期限 | 期限の計算(初日不算入・休日の扱い)と通知 |
| 7. 電子提出(mints・TreeeS) | 提出物と期限の管理、ファイルの要件、TreeeS への移行の方針 |
| 8. 書面の作成 | ひな形、事件の情報の差し込み、版の管理、Word・PDF での出力 |
| 9. 報酬・実費・請求 | 事件ごとの記録、源泉徴収の扱い、請求書の発行 |
| 10. 依頼者とのやりとり | 資料の受け取りと共有の方法 |
| 11. 事務員・パラリーガルの利用 | 役割ごとの権限と、料金の数え方 |
| 12. 解約と試用 | データを書き出せる形式、解約後の削除の扱い、試用の条件 |
1〜4 は、後から変えにくい部分です。製品の説明資料だけでなく、利用規約・データ処理契約の条文で確かめます。電子提出については、mints 実務ガイドとTreeeS への対応方針も参考にしてください。
導入の進め方
- 01
今の管理を棚卸しする
台帳・期日の管理・ファイルの置き場所・報酬の記録が、どこに、誰の手元にあるかを書き出します。
- 02
譲れない条件を決める
保管場所、権限、操作の記録など、上の 1〜4 から事務所の条件を決めます。
- 03
一件の事件で試す
試用期間に、実際の事件を一件だけ入れて、資料の取り込みから期日・書面までを確かめます。
- 04
事務所のルールを更新する
キホトリと所内のルールに、システムの使い方と権限の決め方を加えます。
- 05
進行中の事件から移す
期日の近い事件から移し、終わった事件は必要に応じて後から移します。
AILEX の場合
AILEX は、弁護士数 1〜5 名の法律事務所に特化した AI リーガル OS です。12 の確認点に対する AILEX v2 の状況は次のとおりです(2026年10月25日時点)。
- 保管と AI 処理
- 保管は AWS 東京リージョン、AI の推論は Amazon Bedrock の国内限定推論プロファイル(東京・大阪)。入力は学習に使われません。
- 権限と情報遮断
- 役割ごとの権限と、事件ごとの取扱者の指定。取扱者を限定すると、管理者も自動では入れません。
- 操作の記録
- 80 種類以上の操作を監査ログに記録し、書き出せます。
- 利益相反・相談受付
- 事務所ごとの相談フォームから受け付け、利益相反を自動で照合します(相談受付と受任判断)。
- 期日と期限
- 裁判所の書面から期日を読み取り「要確認」の印を付けて登録。初日不算入と休日を考慮した期限の計算(期日・期限の管理)。
- 電子提出
- mints の提出パッケージと提出管理に対応。TreeeS は対応予定です(mints 提出の準備)。
- 書面
- 57 種の雛形、版の管理、品質検査、Word・PDF の出力(書面の作成と品質検査)。
- 報酬・請求
- 着手金・報酬金・実費を税区分と源泉徴収の対象とともに記録し、請求書を発行(報酬・実費と請求書)。
- 依頼者とのやりとり
- 事件ごとの依頼者ポータルで、選んだ文書の共有と資料の受け取り(依頼者ポータル)。
- 事務員・パラリーガル
- 弁護士・事務員・パラリーガルを同じ事務所の利用者として登録。料金は弁護士・事務員の区別なく席数で数えます(料金)。
- 試用
- 登録日から 1ヶ月間無料。無料期間の終了後に自動で有料にはなりません。
事件の画面の詳細は事件ワークスペース、すべての機能は機能一覧をご覧ください。
よくあるご質問
Q.01Excel での事件管理から、いつシステムに移すべきですか?
Q.02事件記録をクラウドに置いてもよいですか?
Q.03案件管理システムと事件管理システムは違うものですか?
Q.04事務員やパラリーガルも使えますか?
Q.05導入の前に試せますか?
出典(2026年10月25日確認)
関連ページ
- AILEX の事件ワークスペース(事件管理)
- AILEX の機能一覧(13 の機能)
- 弁護士の生成AI活用ガイド ─ 使ってよいか、守秘義務、選び方
- mints 実務ガイド
- AILEX の料金と利用枠
ご注意:本ページは一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の事案への当てはめや、守秘義務・個人情報保護法・弁護士法等への適合は、各事務所の業務と運用に照らして各事務所でご判断ください。記載は 2026年10月25日時点で確認した公表資料に基づきます。法令・ガイドライン・各サービスの規約は変更されることがあります。AILEX の AI 機能による出力は参考情報・ドラフトであり、内容の確認と最終的な判断は弁護士ご自身が行ってください。AILEX は、法律事件に関する鑑定・代理・仲裁・和解その他の法律事務を行うものではありません(弁護士法第72条)。当社の顧問弁護士事務所は弁護士法人えそらです(本ページの監修を意味するものではありません)。
公開日:2026年10月25日 最終更新日:2026年10月25日 編集:AILEX合同会社
