準備書面・訴状を AI で下書きする ─ 手順と、弁護士が確認すること
要点(2026年10月25日時点):生成AIは、資料の読み取り、相手方の主張の整理、構成案と下書き、整合の確認に役立ちます。一方で、主張の採否、事実と証拠の対応、判例・条文の確認、確定と提出は弁護士が行います。下書きは「作成 → 照合 → 修正 → 確定」の順に進め、照合と確定を飛ばさないことが要です。
準備書面には、攻撃又は防御の方法と、相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述を記載します(民事訴訟法 第161条第2項)。何を主張し、相手方の主張にどう応じるかは、弁護士が決める部分です。生成AIは、その判断の材料をそろえ、文章にする作業を速くする道具として使います。
AI に任せられる工程・任せない工程
| 工程 | AI に任せられること | 弁護士が行うこと |
|---|---|---|
| 資料の整理 | 本文の読み取り、要点と時系列の整理 | 足りない資料の判断と、依頼者への依頼 |
| 相手方書面の分析 | 主張の抜き出し、認否表の下書き、前回の書面からの変更点 | 認否と反論の方針 |
| 構成 | 構成案 | 主張の採否と順序 |
| 下書き | 本文の下書き | 事実と証拠の対応、表現の確認 |
| 照合 | 当事者名・日付・金額と資料の整合、条文・判例のチェック | 一次資料での最終確認 |
| 確定・提出 | 書式やファイル名の整形 | 確定と、mints などでの提出 |
下書きから提出までの 7 つの手順
- 01
事件の資料をそろえる
訴状・答弁書・これまでの準備書面・証拠・依頼者からの聴き取りのメモを、一か所に集めます。AI が参照できるのは、入れた資料だけです。
- 02
相手方の主張を整理する
相手方の書面から主張を項目ごとに抜き出し、認否(認める・否認・不知・争う)の下書きを作ります。最終的な認否は弁護士が決めます。
- 03
骨子を決める
争点、こちらの主張、証拠の対応を弁護士が決め、その骨子を AI への指示として渡します。骨子のない依頼は、もっともらしいだけの文章になりがちです。
- 04
下書きを作る
参照する文書を指定して下書きを作ります。出力は下書きとして扱い、そのまま確定しません。
- 05
照合する
当事者名・日付・金額・請求の趣旨が資料と合っているか。引用した条文と判例が実在し、内容が合っているか。条文は e-Gov 法令検索、判例は裁判所の裁判例検索などの一次資料で確かめます。
- 06
直して確定する
誤りを直し、版を残して前の版との違いを確かめてから確定します。
- 07
提出する
訴訟代理人は、mints(民事裁判書類電子提出システム)で提出します(民事訴訟法 第132条の11)。PDF の要件、ファイル名、証拠番号はmints 実務ガイドにまとめています。TreeeS の導入後は、提出先のシステムに合わせます(TreeeS への対応方針)。
注意点
存在しない判例・誤った条文
生成AIは、もっともらしい判例や条文番号を作ってしまうことがあります。海外では、架空の判例を引用した書面が裁判所に提出され、制裁が科された例が報じられています(東京弁護士会 LIBRA 2026年7・8月号)。引用はすべて一次資料で確かめます。
資料にない事実の混入
文章を整える過程で、資料にない事実や評価が補われることがあります。主張する事実ごとに、どの証拠のどの部分に基づくかを確かめます。
守秘義務と個人情報
書面の下書きには、依頼者と相手方の情報が多く含まれます。入力する前に、サービスの学習への利用、保存と削除、処理される場所を確かめます(守秘義務と個人情報)。
提出のファイル
mints は一度提出すると差し替えができません。書式・PDF の要件・ファイル名・証拠番号を、提出の前に確かめます。
AILEX の場合
AILEX v2 の書面の機能は、上の手順に沿って作られています(2026年10月25日時点)。
- 作成 → 照合 → 修正 → 確定:事件の文書と登録された情報を参照して下書きを作り、版ごとに品質検査をかけます。埋まっていない欄が残っている間は確定できません(書面の作成と品質検査)。
- 品質検査:原資料との照合、条文・判例のチェック(e-Gov の条文と裁判所の公開情報と照らす)、記入が必要な欄の一覧。指摘がなくても、正しさが保証されたわけではありません。
- 相手方書面の整理:相手方の書面が届くと主張を拾い、認否表の下書きを作ります。Word に書き出せます(事件チャット)。
- 雛形:訴状・準備書面・控訴理由書・破産手続開始・免責許可申立書・受任通知など 57 種。
- 提出の準備:号証番号のスタンプ、容量の分割、ファイル名の整形をまとめた mints の提出パッケージ。提出は弁護士が mints の画面で行います(mints 提出の準備)。
よくあるご質問
Q.01生成AIで準備書面を書いてもよいですか?
Q.02相手方の準備書面の整理に AI を使えますか?
Q.03AI が引用した判例や条文は、どう確かめればよいですか?
Q.04AI で作った書面を mints で提出するときに、気をつけることはありますか?
出典(2026年10月25日確認)
- 民事訴訟法(e-Gov 法令検索)
- 東京弁護士会 会報 LIBRA 2026年7・8月号 特集「弁護士業務における生成AIの利活用と留意点」(PDF)
- 日本弁護士連合会「弁護士職務基本規程」(会規第70号)
関連ページ
- AILEX の書面の作成と品質検査
- AILEX の事件チャット(相手方書面の整理・認否表)
- 弁護士の生成AI活用ガイド ─ 使ってよいか、守秘義務、選び方
- mints 実務ガイド(PDF 要件・ファイル名・証拠番号)
ご注意:本ページは一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の事案への当てはめや、守秘義務・個人情報保護法・弁護士法等への適合は、各事務所の業務と運用に照らして各事務所でご判断ください。記載は 2026年10月25日時点で確認した公表資料に基づきます。法令・ガイドライン・各サービスの規約は変更されることがあります。AILEX の AI 機能による出力は参考情報・ドラフトであり、内容の確認と最終的な判断は弁護士ご自身が行ってください。AILEX は、法律事件に関する鑑定・代理・仲裁・和解その他の法律事務を行うものではありません(弁護士法第72条)。当社の顧問弁護士事務所は弁護士法人えそらです(本ページの監修を意味するものではありません)。
公開日:2026年10月25日 最終更新日:2026年10月25日 編集:AILEX合同会社
