
上級審を見据えた記録整理の準備
上級審に向けた検討では、主張や証拠の所在と、原審での経緯を正確に追えることが重要です。TreeeSでの移行や引継ぎ機能を前提にせず、手元の記録を整える方法を説明します。
原審の経緯を整理する
主要な主張書面、証拠、期日の記録等を、時系列と文書一覧の両方で整理します。どの段階で何を述べたかが分かるようにし、最終書面だけを残して途中の経緯を失わないようにします。必要な記録の範囲は、担当専門職が検討目的に合わせて決めます。
判断対象との対応を作る
検討する論点ごとに、関係する原審記録の文書とページを示します。結論に都合のよい箇所だけでなく、反対の記載や未確認の部分も残します。作業用の抜粋集を作る場合は、元記録とページの対応を明確にし、抜粋だけで全体を判断しないようにします。
システム上の継承を確認する
上級審の事件において、何がどのように閲覧できるかは公式の運用案内で確認します。原審の権限や記録が自動的にそのまま引き継がれるとは考えません。新しい事件識別情報と取得先を所内台帳に登録し、原審と上級審の資料を区別します。
担当者間の確認を行う
代理人や担当職員が変わる場合は、記録の不足、取得できなかった資料、現在の参照版を引き継ぎます。期限や必要な手続については別途確認し、記録整理の完了を待って着手が遅れないようにします。整理担当と法的判断担当の作業を並行させることが実務上の備えになります。
上級審用の抜粋を作るとき
原審資料の引用を再利用するときは、訂正や追完が反映された版かを確認します。論点ごとに有利・不利双方の箇所を付け、原文の前後が読める参照先を残します。上級審の事件番号や提出先は別に確認し、原審のフォルダ名をそのまま使って操作先を誤らないようにします。システム間の自動移送を仮定せず、実際に確認できた記録と別途取得・提出の確認が必要な資料を分けます。
公式資料で確認する範囲
自己研修サイトで公開されている当事者用操作マニュアルVer.2.0(2026年8月31日発行、暫定版)の本文166–168頁では、証拠一覧の初期表示には選択中の事件が表示され、関連事件は事件選択で追加します。PDF・CSVで一覧を出力できますが、紙記録や閲覧制限などのシール表示は出力されません。また、先頭のチェック欄で選択するのはページ内のデータです。出力物だけで対象範囲や制限表示が完全に引き継がれると考えないことが点検の要点です。これは2026年10月10日に確認した研修用の資料に基づく説明です。本番の適用対象・最新画面は利用時点の裁判所の案内で確認してください。
実務チェック
- 原審の主要記録を一覧化する
- 論点ごとの参照箇所を付ける
- 上級審での閲覧条件を確認する
- 不足と期限対応を別管理する
出典・参照資料
資料に記載された計画・制度と、本記事の実務提案は区別してお読みください。
- 最高裁判所:TreeeS・RoootS追加機能改修の公開調達資料(機能計画の背景) ↗
- 裁判所TreeeS自己研修サイト:ヘルプ掲載「操作マニュアル(当事者用)」Ver.2.0(暫定版・2026年8月31日)、本文166–168頁 ↗
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