
AI入力用資料の匿名化・置換を設計する
氏名を記号へ置き換えるだけで情報が安全になったと判断しないことが重要です。AIへ渡す必要のある文脈を残しながら、直接の識別情報と組合せから人物が分かる情報を点検する方法をまとめます。
目的に必要な要素を選ぶ
文章の構成を確認するだけなら、当事者の実名や正確な住所が不要な場合があります。まずAIにさせる作業を定め、その作業に必要な情報を列挙します。出来事の順序、契約の関係、金額の関係まで消すと意味が変わるため、削る情報と保持する関係を区別します。加工した結果が原事件と同じ前提を保つかも人が確認します。
置換表を別に保管する
人物A、法人Bなどの識別子を使う場合、同じ人物には同じ識別子を使い、異なる人物をまとめません。対応表は入力資料と別の管理領域へ置き、AIに一緒に渡さない運用を基本として検討します。内部の置換処理を、法令上の匿名加工情報等に当然に該当するものと呼ばず、残る識別可能性を別途評価します。
本文以外の残存を点検する
ファイル名、文書の作成者、コメント、画像内の住所、署名、メールヘッダーなどにも識別情報があります。目視で消えたことに加え、検索やテキスト抽出で残存を調べます。外部の変換サイトへ送って匿名化する場合も、その送信自体の条件を確認する必要があるため、承認された処理方法を用います。
復元時に意味を確かめる
例えば人物Aと人物Bの関係をAIが逆転させた場合、氏名を戻すだけでは誤りが残ります。出力を原資料へ対応させる段階で主語、日時、金額、立場を再確認します。置換用データと原資料は混ぜず、加工日と加工内容を残し、どの情報をAIへ渡したかを後から辿れる状態にします。
TreeeSへの提出判断と区別する
本記事はAILEX編集部による内部運用の提案であり、TreeeSの標準機能やAILEXの実装済み機能を保証するものではありません。AIの出力を採用するかは担当者が原資料に基づいて判断します。裁判所のセルフトレーニング環境で公開された当事者用操作マニュアルVer.2.0(2026年8月31日発行、暫定版)本文71ページも、記載例や初期入力を提出者自身で確認するよう注意しています。AIの使用有無にかかわらず、最終提出版の確認を独立した工程として残してください。
実務チェック
- 作業に必要な情報を限定する
- 置換表を入力資料から分離する
- ファイル名や画像も点検する
- 実名復元時に関係を再確認する
出典・参照資料
資料に記載された計画・制度と、本記事の実務提案は区別してお読みください。
編集方針・出典の扱いあわせて読む
依頼者へAI利用を説明する項目を整理する
依頼者への説明では、AIという名称だけでなく使用目的、入力情報、確認者、利用しない場合の方法を明らかにします。説明や同意の要否は個別の関係や条件を確認し、何を伝えたかを記録できる形に整えます。
記事を読む AI活用・AILEX法律事務所のAI利用規程を実務へ落とし込む
長い規程を配るだけでは、提出直前の迷いを解消できません。AI利用規程に決定者、入力前の確認、出力の点検、例外処理、事故時の連絡を定め、日常の申請書やチェック表と結び付けます。
記事を読む AI活用・AILEX事件資料を扱うAIツールの選定表を作る
AIツールの選定では文章の自然さだけでなく、入力条件、管理機能、出典の確認、出力の保存方法を比較します。AILEXを含む候補について、確認できた機能と未確認の項目を分け、実務要件から判断します。
記事を読む