
閲覧制限を要する情報を記録取得前に洗い出す
電子記録には、住所、健康情報、事業上の秘密などが含まれ得ます。取得後の保管だけでなく、記録の閲覧範囲について確認すべき論点を事前に整理する実務準備を紹介します。
秘密情報を具体化する
「機密資料」という大きな区分だけでは対応できません。個人の住所、連絡先、診療情報、取引条件など、どのページのどの情報が問題になるかを特定します。同じ文書でも公開してよい部分と慎重な扱いが必要な部分を分けると、担当者への相談が具体的になります。
制度上の措置を確認する
事務所内でファイルを非公開にしても、裁判記録上の閲覧範囲が変わるわけではありません。閲覧等の制限が必要と考える場合は、対象手続で利用できる措置、要件、申立ての方法を担当専門職が確認します。TreeeSの画面だけで法的な措置を代替できると考えないことが重要です。
加工用と原データを分ける
相談資料としてマスキング版を作る場合は、元の取得物を上書きせず、加工履歴と対象箇所を残します。表示上見えなくなっただけで文字や画像が残っている可能性もあるため、共有前に再確認します。裁判所へ提出するデータの加工は、必要な手続確認を終えてから行います。
緊急の懸念を放置しない
意図しない情報が見えていると気づいた場合は、関係のない相手へ画面を送らず、対象文書、確認時刻、見えていた範囲を整理して照会します。所内で取得済みの写しにも影響がないか点検します。秘密の種類に応じて、連絡先と判断担当者を事前に決めておくと初動が安定します。
制限対象を一覧出力でも確認する
閲覧制限のある文書を含む資料セットを共有する場面では、本文の点検だけでなく一覧の表示も照合します。ラベルがない出力物から制限なしと推測すると、管理対象を落とすおそれがあります。所内台帳に制限対象と確認者を独立して記録し、共有前に元画面へ戻って照合します。法的措置の申立てと、ダウンロード後の配付範囲の管理は担当を分けても、同じ文書番号で追跡できるようにします。
公式資料で確認する範囲
自己研修サイトで公開されている当事者用操作マニュアルVer.2.0(2026年8月31日発行、暫定版)の本文156、178–185頁では、記録外フォルダへアクセスできる当事者は裁判所が設定すると説明されています。また招待キーは利用者のアカウントを特定事件の当事者として関連付けるためのもので、本人と代理人で入力内容が分かれます。登録を終えたことだけで全事件や全フォルダにアクセスできるとは考えず、利用者の立場と対象範囲を確かめます。これは2026年10月10日に確認した研修用の資料に基づく説明です。本番の適用対象・最新画面は利用時点の裁判所の案内で確認してください。
実務チェック
- 問題となる情報をページ単位で特定する
- 必要な法的措置を確認する
- 加工版を原本と分離する
- 緊急照会の担当者を決める
出典・参照資料
資料に記載された計画・制度と、本記事の実務提案は区別してお読みください。
- 最高裁判所:TreeeS・RoootS追加機能改修の公開調達資料(機能計画の背景) ↗
- 裁判所TreeeS自己研修サイト:ヘルプ掲載「操作マニュアル(当事者用)」Ver.2.0(暫定版・2026年8月31日)、本文156、178–185頁 ↗
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