
AI利用の監査ログ:判断を検証するために残す項目
すべてを無制限に保存することと、判断を検証できる記録を残すことは同じではありません。AI利用の目的、入力範囲、結果、修正、承認を必要な粒度で記録し、機密情報の複製を抑える方法を提案します。
検証したい問いから項目を決める
後から知りたいのは、誰がどの資料を用い、何を依頼し、どの出力を採用したかです。利用者、日時、事件の内部識別子、入力版、処理目的、モデル等の条件、出力識別子、確認者を候補にします。全プロンプト本文を全員が読めるログへ流す必要はありません。機密本文は適切な保管先で管理し、監査側には参照識別子を置くなど、目的に応じて分けます。
操作成功と内容の正しさを分ける
生成処理が成功したログは、出力内容が正しいことや提出が完了したことを証明しません。生成、内容確認、採用、承認、提出結果を別の出来事として記録します。例えばAIの要約を却下したなら、却下した理由と修正の方針を残します。エラーのない処理だけを集めても誤りの原因を調べられないため、確認で見つかった問題も必要な範囲で記録します。
改変とアクセスの扱いを決める
ログを修正する場合は元の内容と変更理由が分かる方法を選びます。誰でも自由に消せる共有メモだけでは、事後の説明に限界があります。閲覧、追記、削除の権限を分け、保存期限と例外的な保留を定めます。時刻の基準やタイムゾーンも統一し、異なるサービスの履歴を突き合わせる際のずれを確認します。具体的な耐改ざん性は採用製品と設定で検証します。
定期的に一件を再現する
保管しているだけでなく、代表案件の生成から承認までをログで追えるか試します。参照先が消えている、入力版が分からない、承認者が不明なら項目を見直します。監査のための再現で秘密情報を必要以上に広げず、確認担当と利用目的を限定します。AILEXを含む製品の導入時も、ログ機能の有無や出力範囲を実機と契約で確認し、本記事から実装済みと推測しないようにします。
TreeeSと本記事の位置付け
当事者用操作マニュアルVer.2.0(2026年8月31日発行、暫定版)の本文61頁はフォーム選択から入力、確認、提出完了の流れを、134–139頁は記録の一覧と個別確認を説明しています。資料確認日は2026年10月10日です。本記事のAI運用はAILEX編集部による所内準備の提案であり、裁判所の公式なAI利用手順やAILEXの機能保証ではありません。本番の対象手続と操作は最新の公式案内で確認し、製品の機能・契約条件は導入時に個別に確かめてください。
実務チェック
- 検証目的に合う項目を決める
- 生成・承認・提出結果を分ける
- 閲覧と変更の権限を定める
- 一件の履歴を実際に追ってみる
出典・参照資料
資料に記載された計画・制度と、本記事の実務提案は区別してお読みください。
- 裁判所TreeeS自己研修サイト:ヘルプ掲載の当事者用操作マニュアルVer.2.0(暫定版・2026年8月31日)、本文61頁・134–139頁(提出と記録確認の背景) ↗
- AILEX:TreeeSの公開情報と対応方針(製品の個別機能は別途確認) ↗
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