AILEXの案件管理に、企業法務・専門分野の16カテゴリを新たに追加しました。訴訟や交渉だけでなく、M&Aや知的財産、危機管理・不正調査まで、案件の性格に合ったカテゴリとフェーズで管理できるようになります。
この記事では、追加の背景と具体的な使い方をご紹介します。
きっかけは、弁護士の「ここに入れる場所がない」という声
AILEXには以前から「訴訟」「交渉」「契約」「企業法務」「相続」「家事事件」など13種類の案件カテゴリがありました。訴訟系の案件であれば、このカテゴリ分類で十分に機能します。
しかし、パイロットで利用いただいている弁護士から、こんな声をいただきました。
「顧問先からM&A案件の相談が来たけど、企業法務に入れるしかない」
「IPO準備の進捗をフェーズで追いたいのに、フェーズが訴訟用になってしまう」
「情報漏えいの緊急対応が入ったが、カテゴリが合わないのでとりあえず”その他”に入れた」
小規模な事務所であっても、顧問先企業から受ける相談は多岐にわたります。M&A、規制対応、広告法務、知的財産、税務——これらの案件が「企業法務」や「その他」に一括りにされてしまうと、あとから案件を探しにくくなりますし、フェーズ管理も訴訟用のものがそのまま適用されてしまいます。
「相談 → 受任 → 提訴 → 主張整理 → 争点整理 → …」という訴訟のフェーズでM&Aの進捗を管理するのは、さすがに無理があります。
追加された16カテゴリ
今回、以下の16カテゴリを新設しました。
経営・資本に関わる案件
🏛️ コーポレート・ガバナンス——取締役会・株主総会・開示・上場規律に関する案件。コーポレートガバナンス・コードや有価証券上場規程への対応など、外部ステークホルダーとの関係を含む会社統治の領域です。
💰 ファイナンス——借入・社債・シンジケートローン・バンキング取引など、資金調達と財務条件に関する法務。
🔄 M&A——買収・合併・事業譲渡・組織再編の検討から契約・クロージングまで。NDA締結状況やDD(デューデリジェンス)の進捗など、M&A特有の管理項目に対応します。
📈 IPO支援——上場準備の体制整備、規程・内部統制の構築、取引所審査への対応。
人・組織に関わる案件
👥 労務——雇用契約、就業規則、懲戒・解雇、ハラスメントなどの労務課題。既存の「労働」カテゴリが訴訟・労働審判寄りであるのに対し、こちらは紛争前の人事労務相談を想定しています。
📊 ガバナンス——社内規程・権限設計・内部統制・コンプライアンス運用など、全社横断の統制設計。「コーポレート・ガバナンス」が株主・取締役会など外部統治を扱うのに対し、こちらは社内プロセス設計が中心です。
🔍 内部監査——監査計画、業務監査、改善提案、フォローアップの依頼・調整。
技術・情報に関わる案件
💡 知的財産——特許・商標・著作権・営業秘密の取得・管理・侵害対応。
💻 IT・情報——システム導入・開発委託・SaaS利用契約・データ取扱い設計。経産省・IPAの情報システムモデル契約やAI・データ契約ガイドラインが関係する領域です。
🔒 セキュリティ——インシデント対応・脆弱性・不正アクセス・再発防止。「IT・情報」がシステム導入・契約寄りであるのに対し、こちらはインシデントの”守り”に特化しています。
📜 規制対応——許認可・業法・当局照会・報告義務など、規制当局との関係を含む対応。
取引・市場に関わる案件
📢 広告法務——広告・表示の表現審査、比較広告の実証確認、景品表示法対応。
🧮 税務法務——取引の税務影響、申告・調査対応、移転価格、源泉税などの論点整理。
紛争・危機に関わる案件
💳 債権回収——未収金の回収、督促状の作成、訴訟・強制執行の検討。
🚨 危機管理・不正調査——不祥事・不正の疑い、社内調査の設計、証拠保全、当局対応、通報者保護。
🚀 新規事業の適法性レビュー——新規事業モデルがどの規制に該当するか、許認可の要否、グレーゾーン解消制度の利用可否などを横断的に整理する案件。
それぞれに専用のフェーズが付きます
カテゴリを追加しただけではありません。16カテゴリそれぞれに、業務の実態に合わせた専用のフェーズ(進捗段階)を設定しました。
たとえば、M&Aカテゴリのフェーズは「相談 → 受任 → NDA締結 → デューデリジェンス → 条件交渉 → 最終契約 → クロージング → PMI → 完了」の9段階です。訴訟のフェーズ(提訴、主張整理、争点整理…)とはまったく異なる、M&A実務に即した進捗管理ができます。
危機管理・不正調査カテゴリであれば「相談 → 受任 → 初動・保全 → 調査 → 報告・当局対応 → 再発防止 → 完了」の7段階。不正発覚時の初動対応から再発防止まで、危機管理案件のライフサイクル全体をカバーします。
IPO支援カテゴリは「相談 → 受任 → 体制評価 → 整備 → 申請・届出 → 審査対応 → 上場 → 完了」の8段階。上場準備に特有の長期プロジェクト管理に対応します。
フェーズの変更はAIエージェントからも操作できます。「M&A案件のフェーズをデューデリジェンスに進めて」と伝えれば、フェーズが更新され、変更履歴が監査ログに自動記録されます。もちろん、あるカテゴリに存在しないフェーズへの変更はシステムが自動的に拒否するので、「M&A案件を”提訴”フェーズに変更してしまった」といった操作ミスも防げます。
当事者ラベルも自動で変わります
案件登録フォームでカテゴリを選ぶと、入力欄の表示が自動的に切り替わります。
M&Aを選べば「原告」「被告」の代わりに「買主/売主」「対象会社/相手方」と表示されます。債権回収なら「債権者」「債務者」、内部監査なら「依頼法人」「監査対象部署」、知的財産なら「権利者/出願人」「相手方」——カテゴリごとに適切なラベルが適用されます。
案件名のプレースホルダーも連動して変わるので、初めて使うカテゴリでも「何を入力すればいいか」が直感的にわかるようになっています。広告法務であれば「No.1表示の根拠レビュー」、新規事業の適法性レビューであれば「新サービス規制適合性チェック」といった具体的な入力例が表示されます。
使い方:「企業法務・専門分野」を開くだけ
案件登録画面(/cases/new)で「▼ 企業法務・専門分野(16カテゴリ)」をクリックすると、新しい16カテゴリが3列のグリッドで展開されます。従来の6カテゴリ(訴訟・交渉・契約・企業法務・相続・家事事件)はこれまで通りメイン画面に表示されるので、訴訟中心の事務所では操作感は何も変わりません。
企業法務の相談が多い事務所では、このセクションを日常的に活用していただく形になります。
既存の案件のカテゴリ変更も可能です。案件詳細ページの編集モードで、ドロップダウンから新しいカテゴリを選択するだけで切り替えられます。これまで「企業法務」や「その他」に分類していた案件を、より適切なカテゴリに整理し直すことができます。
「その他」をなくしたい
案件管理において、「その他」は便利な反面、あとから振り返ったときに何の案件だったのかわからなくなる最大の原因です。
今回の拡充で、日本の法律事務所が日常的に扱う案件類型のほとんどをカバーできるようになりました。訴訟・家事事件から企業法務・専門分野まで、29種類のカテゴリとそれぞれに最適化されたフェーズ管理で、「この案件、どこに入れればいいんだろう」と迷う場面を限りなく減らしていきます。
今後は、カテゴリごとの追加入力項目(M&AであればNDA締結状況や案件フェーズ、広告法務であれば広告媒体や根拠資料の有無など)も段階的に実装していく予定です。
今後の開発について
AILEXでは、ユーザーである弁護士からのフィードバックを起点とした機能開発を続けています。「こんな機能がほしい」「この部分が使いにくい」といったご意見は、AIエージェントのチャットから直接お寄せいただけます。
2026年5月に予定されているmints(民事裁判書類電子提出システム)の利用義務化への対応も引き続き強化してまいります。
※ AILEXのAI機能による生成結果は「ドラフト」であり、最終的な法的判断および責任は弁護士に帰属します。AILEXは弁護士法第72条に定める法律事務の取扱いを行うものではなく、弁護士の業務を支援するツールとして機能します。
AILEX(エーアイレックス)
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