民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引き(最高裁)全11章の読み方|どこに何が書いてあるか早見表
最高裁判所事務総局民事局が公開する「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」(検索では「準備の手引き」とも表記されます)は、mints(ミンツ)を使った民事訴訟手続の全体像を、根拠条文付きで一冊にまとめた資料です。最新版は令和8年6月19日更新・全49頁で、裁判所も「電子申立てをする方はまずこちらをご覧ください」と位置づけています。ただし49頁を通読する時間はなかなか取れません。本記事では、この手引の全体構成を章・頁ごとに早見表にし、「困ったときにどの頁を開くか」「実務でまず読むべき箇所」「略語の意味」「改訂履歴」を整理します。令和8年6月19日版の変更点そのものは準備の手引 令和8年6月19日版の変更点で解説しています。
準備の手引きとは──3点セットの中の「地図」
| 資料 | 役割 | 作成者・入手先 |
|---|---|---|
| 民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引 | 制度・手続の全体像と運用の考え方(根拠条文つきの「地図」) | 最高裁判所事務総局民事局。裁判所ウェブサイト「改正民訴法等に関する参考資料」からPDF |
| mints操作マニュアル(2.3版) | 画面ごとの操作方法(「取扱説明書」) | mints公式サイト(2.3版の解説) |
| mints Q&A | 個別の疑問への一問一答 | 裁判所ウェブサイト「裁判手続Q&A」 |
正式名称は「手引」ですが、「手引き」で検索しても同じ資料です。冒頭の凡例、mintsを利用した手続の全体図、法廷機器等の概要に続いて、00〜11の12章と修正履歴で構成されています。
全体構成の早見表──どこに何が書いてあるか
| 章 | 頁 | 主な内容 | こんなときに読む |
|---|---|---|---|
| 凡例 | 2 | 改正民訴法・改正民訴規則・識別符号規則・細則などの略語の定義 | 条文の出典を確認したい |
| 手続の全体図 | 3〜5 | アカウント登録から執行までの流れを見開きで整理 | 新人・事務職員への説明 |
| 法廷機器等の概要 | 6 | 持参するモバイルPC、大型ディスプレイ、当事者用ディスプレイ、courts Wi-Fi | 期日に何を持っていくか |
| 00 mintsアカウントの登録 | 7〜9 | 識別符号(メールアドレス)と暗証符号、登録手順、懲戒処分による停止、補助者アカウントの運用ルール | 登録・補助者設定 |
| 01 訴えの提起(電子申立て等) | 10〜14 | 義務の原則と例外、例外事由が否定される典型例、入力フォームの留意事項(当事者多数・訴額・添付書類)、共同受任の入力方法 | 提訴前の最終確認 |
| 02 手数料の電子納付 | 15〜16 | ペイジーによる納付の原則と流れ | 納付情報の取得 |
| 03 訴状等の送達 | 17〜19 | 出力書面による送達とシステム送達、システム送達の留意事項 | 訴状送達の準備 |
| 04 被告代理人の応訴 | 20〜21 | 招待キーによる関連付け、委任状・答弁書のアップロードまでの流れ | 被告側で受任したとき |
| 05 期日等 | 22〜23 | 出頭方法、記録の確認方法、準備書面のファイル名、提出期限徒過時の説明義務 | 期日の準備 |
| 06 証拠の提出 | 24〜30 | 書証申出、電磁的記録の証拠調べ、証拠説明書の作成例、アップロードルール | 証拠を出す前に必ず |
| 07 人証調べ | 31〜34 | ウェブ尋問の要件と相当性、文書の提示方法、証人の書込み | 尋問期日の準備 |
| 08 電子判決書 | 35〜36 | システム送達と控訴期間、登記手続を要する場合の記録事項証明、関連付け解除の時期 | 判決前後の必読箇所 |
| 09 執行手続 | 37〜38 | 特例執行文付与申立事件、事件特定情報の提供 | 強制執行の準備 |
| 10 当事者間秘匿の申立て | 39 | 秘匿の申立て方法、秘匿事項届出書面は書面提出、マスキングの留意点 | DV等の秘匿事件 |
| 11 その他留意事項等 | 40〜47 | 各種申立てとmintsの提出場所の対応表(40〜41)、旧法適用事件と新法適用事件の区別(42〜44)、デジタル化される手続の概要(45)、mintsに障害が生じた場合の対応(46〜47) | 「どこに出すか」「障害時にどうするか」 |
| 修正履歴 | 48〜49 | 令和7年11月26日以降の主な修正事項 | 手元の版が古くないか |
実務でまず読むべき5か所
- 11頁「例外事由が否定される典型例」:PCの故障は例外事由になりにくく、他の端末・テザリング・裁判所設置端末など代替手段を尽くした証拠(スクリーンショット・動画・陳述書)が必要になります(例外事由の判断基準)。
- 12〜13頁「入力フォームの留意事項」:訴額は万円単位で切り上げ、当事者・代理人が10名超200名以内なら当事者情報CSVファイル、200名超なら当事者目録PDF、不動産事件の登記事項証明書は不動産識別事項の記載で省略可、共同受任時の入力方法(資格証明書・登記事項証明書の添付ルール)。
- 35〜36頁「電子判決書・関連付け解除」:控訴期間の起算、登記を要する主文がある場合に記録外へ提供される記録事項証明、和解調書アップロードから1週間で解除され得ること(電子判決書で登記申請するには)。
- 40〜41頁「提出場所の対応表」:訴え提起と同時の秘匿・訴訟救助・公示送達の申立ては新規申立てフォームの「添付書類」、係属中は記録一覧のファイル種別で使い分け。提出場所を誤っても直ちに不適法にはならないが確認に時間を要する、と明記(公示送達の申立てと提出場所)。
- 46〜47頁「障害時の対応」:裁判所サイト「重要なお知らせ」とmintsトップで障害を確認し、緊急なら書面申立て・収入印紙納付が可能(mintsの問い合わせ先と障害時の対応)。
凡例の略語を押さえる
| 略語 | 意味 |
|---|---|
| 改正民訴法 | 令和4年法律第48号による改正後の民事訴訟法 |
| 改正民訴規則 | 令和6年最高裁判所規則第14号による改正後の民事訴訟規則 |
| 識別符号規則 | 民事事件等に関する手続において用いる識別符号の付与等に関する規則(令和6年最高裁判所規則第15号) |
| 改正民執法・改正民執規則 | 令和5年法律第53号による改正後の民事執行法、令和6年最高裁規則第14号による改正後の民事執行規則 |
| 改正費用法・改正費用規則 | 改正後の民事訴訟費用等に関する法律、令和8年最高裁判所規則第7号による改正後の同規則 |
| 細則 | 民事事件等に関する手続における電子情報処理組織の使用に関する細則(令和7年最高裁判所告示第4号) |
| 督オン | 督促手続オンラインシステム |
改訂履歴──手元の版が最新か
| 改訂日 | 主な修正事項 |
|---|---|
| 令和7年11月26日 | 法廷等用機器説明動画のリンク追加、準備書面のファイル名の平仄、証拠番号欄の半角英数字を明記 |
| 令和8年2月27日 | 各種書式のリンク追加、「courts Wi-Fi」への名称変更、本人確認資料の確定、共同受任の入力方法の整理、証拠説明書作成例(27頁)・旧法新法の区別(43〜44頁)・障害時対応(46〜47頁)を新規追加 |
| 令和8年3月27日 | 不動産事件の登記事項証明書の添付省略(12頁)、誤アップロード対応のリンク(22頁)、登記手続を要する電子判決書等の取扱い(35頁) |
| 令和8年4月24日 | 債務名義による登記申請の留意事項へのリンク(35頁) |
| 令和8年5月15日 | 「関連付け解除」の頁を新規追加(36頁)、事件特定情報による添付省略の運用イメージ(37〜38頁) |
| 令和8年6月19日 | 施行に伴う時点修正、当事者多数の入力留意事項(12頁)、マスキングの留意点(39頁)、提出場所対応表の一部修正(40〜41頁) |
表紙右上の「R8.6.19」の表記が、いま参照している版を示します。事務所の手順書で頁番号を引用している場合は、改訂で頁がずれることを前提に、章名も併記しておきましょう。
使いこなしのコツ
- 各頁右上の「HOME」ボタンで目次に戻れる構成です。章番号(00〜11)で会話すると、事務所内での参照が速くなります。
- 操作方法で迷ったら操作マニュアル、制度の趣旨や条文で迷ったら手引、というように資料の役割で使い分けます。
- 改訂は大きな告知なく行われます。裁判所ウェブサイトの「改正民訴法等に関する参考資料」ページの更新日と修正履歴頁を月に一度確認する運用が安全です。
問題は「読んだ」と「運用に落ちている」の差
手引の内容は、条文の理解にとどまらず、事務所のチェックリストや手順書に落とし込んで初めて機能します。とりわけ12〜13頁の入力ルール、35〜36頁の判決後のダウンロード、40〜41頁の提出場所は、担当者が変わっても同じ動きができるよう「事務所の言葉」に翻訳しておく必要があります。
AILEXなら手引の「ルール」をそのまま作業に変換できる
AILEX(エーアイレックス)は、準備の手引が求めるルール――証拠番号の通し番号、証拠説明書の記載事項、申立ての趣旨400字・請求の原因10,000字のフォーム入力、10名超の当事者情報CSV――を、mints準拠のPDF・CSV・テキストとして自動生成します。AI提出前チェックで欠番や表記揺れを検出し、電子送達の1週間ルールに対応した期限管理で判決後のダウンロードや控訴期間も見落としません。49頁を読み込む時間を、事件そのものに使うために、AILEXを無料でお試しください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
運営:AILEX合同会社(エーアイレックス)|顧問弁護士事務所:弁護士法人えそら
よくある質問
「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引き」とはどんな資料ですか?
最高裁判所事務総局民事局が作成した、mintsを利用した民事訴訟手続の全体像・アカウント登録・電子申立て・証拠提出・電子判決書・執行などを根拠条文付きで整理した資料です。最新版は令和8年6月19日更新の全49頁で、裁判所ウェブサイトの「改正民訴法等に関する参考資料」から入手できます。正式名称は「手引」です。
準備の手引と操作マニュアルはどう使い分けますか?
制度の趣旨や条文、運用の考え方を知りたいときは準備の手引、画面ごとの操作方法を知りたいときはmints操作マニュアル(2.3版)、個別の疑問はmints Q&Aという使い分けです。
準備の手引で最初に読むべき箇所はどこですか?
11頁の例外事由が否定される典型例、12〜13頁の入力フォームの留意事項、35〜36頁の電子判決書と関連付け解除、40〜41頁の各種申立てとmintsの提出場所の対応表、46〜47頁の障害時の対応の5か所です。