電子送達

公示送達はウェブ掲載に|令和8年5月21日以降の事件でmintsから申し立てる手順と効力発生日

被告の所在が分からない事件で欠かせない公示送達も、フェーズ3で姿を変えました。令和8年5月21日以降に申立て等があった事件の公示送達・公告事項は、裁判所のウェブサイトで閲覧できるようになり、申立ては訴訟代理人であればmintsで電子提出することになります。本記事では、改正民訴法111条の内容、裁判所ウェブサイトの「公示送達・公告」ページの位置づけ、効力発生日の数え方、mintsでの申立ての提出場所、そして公示送達事件特有の実務上の注意点を整理します。

公示送達とは

公示送達は、当事者の住所・居所その他送達をすべき場所が知れない場合や、付郵便送達によることができない場合などに、裁判所書記官が申立てにより(一定の場合は職権で)行う送達方法です(民訴法110条)。訴状、期日呼出状、判決書など、本来なら相手方に交付すべき書類について、一定の公示措置をとることで送達の効力を生じさせます。要件を定める110条と効力発生時期を定める112条の基本的な枠組みは、改正後も維持されています。

改正民訴法111条で「掲示」から「ウェブ掲載」へ

改正前の公示送達は、裁判所の掲示場に書類を掲示する方法で行われていました。改正後の111条では、公示送達は、送達すべき事項等を最高裁判所規則で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置く措置(裁判所ウェブサイトへの掲載)をとるとともに、その事項を記載した書面を裁判所の掲示場に掲示し、または裁判所に設置した電子計算機の映像面に表示したものを閲覧できる状態に置く措置をとることによって行うものとされました。また、紙の書類だけでなく、電子申立てされた訴状など電磁的記録の公示送達が正面から位置づけられました。

実際に、裁判所ウェブサイトには「公示送達・公告(令和8年5月21日以降に申立等があった事件等に関するもの)」というリンク集が設けられ、最高裁および全国の高裁・地裁・家裁・簡裁ごとの「公示送達・公告」ページに遷移できます。同ページは、令和8年5月20日以前に申立て等があった事件等については、各裁判所に設置された掲示場を確認するよう案内しており、旧法事件と新法事件で確認先が異なる点に注意が必要です(旧法事件と新法事件の併存)。

効力発生日の数え方

場面効力発生条文
原則公示送達の措置を開始した日から2週間を経過した時民訴法112条1項
同一当事者に対する2回目以降措置を開始した日の翌日民訴法112条2項
外国においてすべき送達に代わる公示送達措置を開始した日から6週間を経過した時民訴法112条3項

掲示に加えてウェブ掲載という閲覧措置が併用されるため、起算点となる「措置を開始した日」がいつかは、担当書記官に確認して記録しておくことをおすすめします。訴状の公示送達が効力を生じてはじめて訴訟係属が生じ、その後の期日指定や判決の送達スケジュールが決まります。

mintsでの公示送達の申立て:提出場所はどこか

弁護士等の訴訟代理人は、公示送達の申立ても電子申立てが原則です。準備の手引(令和8年6月19日版)の「各種申立て等とmintsによるデータの提出場所との対応関係」では、次のように整理されています。

場面提出場所
訴えの提起と同時に申し立てる場合新規申立てフォームの「添付書類」に公示送達申立書をアップロード(秘匿決定・訴訟救助・特別代理人選任の申立ても同様)
訴訟係属中に申し立てる場合事件情報の記録一覧のアップロード画面、ファイル種別「その他」

準備の手引は、提出場所や申立て種別を誤っても申立てが直ちに不適法になるわけではないが、裁判所の確認に時間を要し、速やかな対応ができないことがあるとしています。所在不明の相手方に対する事件では、送達の遅れがそのまま期日の遅れになりますので、提出場所を正確に選ぶことが実務上の速度に直結します(新規申立ての手順)。

疎明資料の提出と秘匿情報への配慮

公示送達の要件を疎明する資料(住民票の写し、不在を確認した現地調査報告書、写真、郵便の不送達記録など)は、申立書とともにPDFで提出します。調査報告書には第三者の氏名や住居の状況が含まれることが多く、相手方がmintsに関連付けられていない場合でも、後に閲覧され得る訴訟記録になります。秘匿事項や不要な個人情報は、マーカーではなく墨消し機能で完全に削除してから提出してください(秘匿制度と提出時の注意)。

申立てに添える疎明資料の例

疎明したい事実資料の例
住民票上の住所に居住していないこと住民票の写し(または住民票除票)、現地調査報告書(表札・郵便受け・電気メーターの状況等)、現地の写真
郵便が届かないこと訴状等の送達不能の記録、内容証明郵便の不送達通知、宛所不明で返送された郵便物の写し
就業場所・親族等からも所在が判明しないこと勤務先や関係者への照会結果をまとめた報告書、弁護士会照会の回答

なお、公示送達は申立てによるのが原則ですが、裁判所は訴訟の遅滞を避けるため必要があると認めるときは申立てがなくても公示送達を命じることができ、同一の当事者に対する2回目以降の公示送達は職権で行われます(民訴法110条2項・3項)。訴状の公示送達さえ申し立てておけば、その後の期日呼出状や判決書について改めて申立てをする必要はないのが通常ですが、期日ごとの掲載状況は担当書記官と確認しながら進めると安全です。

公示送達事件で押さえておくべき手続の流れ

  • 擬制自白は生じない:公示送達による呼出しを受けた当事者が出頭しなくても、擬制自白の規定は適用されません(民訴法159条3項ただし書)。請求原因事実は証拠によって立証する必要があります。
  • 期日呼出状・判決書も公示送達:その後の期日呼出しや電子判決書の送達も公示送達によることになり、判決の確定時期は公示送達の効力発生を起点に計算します。
  • 相手方が途中で現れた場合:所在が判明したときは通常の送達に戻り、相手方がmintsに関連付けられることもあります。それまでに提出した記録の内容を意識しておきましょう。

問題は「掲載の確認」と「期間計算」が属人化すること

公示送達事件は件数が多くない分、担当者の記憶に頼りがちです。ウェブ掲載が始まったことで掲載内容を自席から確認できるようになった一方、「いつ措置が開始されたか」「2週間後はいつか」「判決の公示送達から確定までの計算」といった期間管理は、依然として代理人の責任です。掲載日の確認、効力発生日、次回期日、判決確定予定日を一つの事件タイムラインに載せておく運用が欠かせません。

AILEXなら申立てから効力発生日までを一つの流れで管理できる

AILEX(エーアイレックス)は、書類からの期日自動抽出とリマインダーを備えたAIスケジュール管理で、公示送達の措置開始日や効力発生予定日を事件のタイムラインに載せて管理できます。提出書類はmints準拠のPDFパッケージとして生成し、提出前チェックで当事者名の表記揺れや日付の矛盾をAIが検出します。外部AIに送る前に当事者名などの個人識別情報を自動で置き換えるPII匿名化を搭載しているため、調査報告書のような個人情報を含む書面の下書きにも配慮した設計です。裁判所公式のシステムではない第三者ツールですが、公示送達のように「間隔が空いて忘れやすい手続」こそ、仕組みで支えることが弁護過誤の防止につながります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
運営:AILEX合同会社(エーアイレックス)|顧問弁護士事務所:弁護士法人えそら

よくある質問

公示送達の内容はどこで確認できますか?

令和8年5月21日以降に申立て等があった事件は、裁判所ウェブサイトの「公示送達・公告」ページ(各裁判所ごとのページへのリンク集)で閲覧できます。令和8年5月20日以前の事件は、各裁判所に設置された掲示場で確認します。

公示送達の申立てはmintsのどこから提出しますか?

訴えの提起と同時なら新規申立てフォームの「添付書類」に申立書をアップロードし、訴訟係属中なら記録一覧のアップロード画面でファイル種別「その他」を選んで提出します(準備の手引・令和8年6月19日版)。

公示送達の効力はいつ生じますか?

原則として公示送達の措置を開始した日から2週間を経過した時です。同一当事者に対する2回目以降は翌日、外国においてすべき送達に代わる公示送達は6週間経過時に効力が生じます(民訴法112条)。

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