TreeeS・次世代

mints・RoootS・TreeeS完全整理|裁判デジタル化3システムの全体像と2028年ロードマップ

裁判デジタル化の全体像——3つのシステムを理解する

最高裁判所が進める民事裁判のデジタル化には、3つのシステムが関わっています。この3つの関係を正確に理解することが、2026年〜2028年の裁判デジタル化の全体像を把握する第一歩です。

mints(ミンツ)——弁護士が使うe提出システム

mints(MINji saibansyorui denshi Teisyutsu System)は、弁護士・当事者が裁判書類をオンラインで提出するためのWebシステムです。株式会社NTTデータが開発し、2022年2月に試行運用を開始、2023年11月に全国展開されました。2025年7月には全簡易裁判所にも拡大されています。

2026年5月21日の改正民事訴訟法全面施行により、弁護士のmints利用が義務化されます。mintsは「フェーズ3の先行実施」という位置づけで、本来はTreeeSに置き換わる予定でした。

RoootS(ルーツ)——裁判所職員が使うe事件管理システム

RoootS(Root of Online Operational Tection System)は、裁判所職員が事件の進行管理を行うためのシステムです。弁護士が直接操作することはありませんが、mintsにアップロードされた書類がRoootSに取り込まれ、電子訴訟記録として管理されます。

2024年7月に導入が開始されましたが、総合テストでのバグ多発により当初予定から約半年遅延しました。RoootSはマイクロサービスアーキテクチャを採用しており、この設計思想がTreeeSとの連携で障壁となっています。

TreeeS(トゥリーズ)——すべてを統合する次世代システム

TreeeS(Trial e-filing e-case management e-court Systems)は、e提出・e事件管理・e法廷を1つのシステム群として統合する、民事裁判デジタル化の本丸です。mintsの「e提出のみ」という制約を超え、ウェブ会議機能(e法廷)や事件管理機能も含む統合的な体験を弁護士に提供する設計です。

開発は2023年4月に開始され、予算規模は30億円超。しかしテスト段階での不具合頻発により2025年2月に導入延期が決定されました。

3つのシステムの関係図

3つのシステムは以下のように位置づけられます。

項目mintsRoootSTreeeS
開発開始令和2年度(2020年)令和4年度(2022年)令和5年度(2023年)
利用者弁護士・当事者裁判所職員弁護士・当事者・裁判所
機能e提出のみe事件管理のみe提出+e事件管理+e法廷
開発ベンダーNTTデータ非公開非公開
基盤Microsoft AzureMicrosoft AzureMicrosoft Azure
現状全国運用中導入済み開発中(総合テスト段階)

TreeeSはRoootSと「疎結合」で接続する設計です。つまり、RoootSが裁判所内部の事件管理を担い、TreeeSが弁護士向けの提出・閲覧インターフェースを担うという役割分担です。

2026年〜2028年の全体ロードマップ

裁判デジタル化は2028年まで段階的に進みます。弁護士に影響する主要なマイルストーンを時系列で整理します。

時期出来事弁護士への影響
2026年5月21日改正民訴法フェーズ3全面施行(mints改修版で対応)弁護士のmints電子提出義務化。電子送達・電子納付が開始
2026年5月以降mints上で新規申立て・電子送達・電子納付が全面稼働紙の訴状提出が原則不可に。ペイジー納付に対応
2027年度(見込み)TreeeS導入開始(時期は未確定)提出システムがmintsからTreeeSに切替え。UIが変更に
〜2028年3月第3次開発完了:家事事件・人事訴訟・民事執行等への対応家事事件の電子提出が開始。弁護士の対応範囲が拡大
2028年6月(期限)令和5年法律第53号の全面施行(公布後5年以内)家事・人事訴訟・民事執行・保全・倒産手続すべてがデジタル化

2028年に向けて拡大する対応範囲

家事事件のデジタル化

2025年7月2日、最高裁は第3次開発の公募公告を出しました。件名は「家事事件手続等のデジタル化に伴うe事件管理システム・e提出・e記録管理システムの改修等業務」で、契約期間は令和10年(2028年)3月31日までです。

これにより、離婚調停・遺産分割審判・後見開始審判など、弁護士が日常的に扱う家事事件もオンライン提出の対象になります。

刑事手続のデジタル化も始動

民事だけでなく、刑事手続のデジタル化も動き出しています。2025年5月に刑事訴訟法等の改正法が国会で成立し、書類の電子データ化・発受のオンライン化が法的に整備されました。民事・家事・刑事の全分野でデジタル化が同時進行する構図です。

第3次開発の応募要件

第3次開発の公募仕様書では、応募要件として全省庁統一資格「A」等級で、1万人以上が利用するデータベース機能を有するシステムの開発実績が求められています。既存のRoootS・TreeeSを改修する形となるため、現在の開発ベンダーが有利と見られます。

弁護士が押さえるべき3つのポイント

ポイント①:2026年5月はmints、2028年はTreeeSで家事事件も

直近1年のアクションはmintsへの対応一択ですが、中期的にはTreeeSへの切替えと家事事件のデジタル化が控えています。事務所のDX計画は少なくとも2028年までの見通しを持って立てるべきです。

ポイント②:紙提出が残る過渡期は数年続く

2026年5月21日以前に提起された事件には改正前法が適用されます。控訴事件も「改正前事件」として紙提出が続きます。紙とデジタルの混在運用は少なくとも2〜3年間続くと見込まれ、事務所の業務フローは両方に対応する設計が必要です。

ポイント③:TreeeSを待たず、今すぐ始める

TreeeSの導入時期は不確定要素が多く、「TreeeSが出てから対応する」という待ちの姿勢はリスクです。2026年5月21日のmints義務化は確実に来ます。今日からmintsに触れることが最善の準備です。

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本記事は2026年3月時点の公開情報に基づいて作成しています。各システムの導入時期・仕様は最高裁判所の方針により変更される可能性があります。本記事は法的助言を構成するものではありません。
運営:AILEX合同会社(info@ailex.co.jp
顧問弁護士事務所:弁護士法人えそら

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