mints→TreeeS二重移行問題|弁護士が知るべきリスクと5つの対策
「二重移行」とは何か
2025年2月、最高裁判所がTreeeS(トゥリーズ)の導入延期を正式決定したことで、日本の弁護士は紙→mints→TreeeSという二重のシステム移行を経験することが確定しました。
第1の移行は2026年5月21日。改正民事訴訟法の全面施行により、弁護士のmints電子提出が義務化されます。紙・FAXでの書類提出から、mintsを使ったオンライン提出への完全切替えです。
第2の移行は2027〜2028年度(見込み)。mintsの後継であるTreeeSが本格導入され、弁護士が使う提出システムが再び変更されます。
つまり弁護士は、わずか1〜2年の間に2回のシステム変更を経験することになります。
二重移行が弁護士にもたらす5つのリスク
リスク①:操作ミスの増加
mintsの操作にようやく慣れた頃にTreeeSへ移行すると、UIの違いによる操作ミスが増加します。特にmintsでは「一度アップロードしたら差し替え不可」という厳格なルールがあるため、操作ミスの代償は大きいです。TreeeSでの操作性がどう変わるかは未公表であり、不確実性がリスクを高めます。
リスク②:研修コストの二重発生
事務所内の研修をmints向けに実施した後、TreeeS導入時にもう一度研修が必要になります。特に補助者(事務職員)の操作教育は弁護士本人以上に重要です。補助者が電子判決書を閲覧するとその時点で送達効力が発生するため、操作ルールの徹底は事務所のリスク管理に直結します。
リスク③:DXツール投資の判断が困難
mintsに特化したツールを導入しても、TreeeS移行時にそのツールが使えなくなる可能性があります。かといってTreeeSまで待つわけにもいかない——この板挟みが、DX投資の意思決定を難しくしています。
リスク④:過渡期の事件での混在運用
2026年5月21日以前に提起された事件には改正前法が適用され、紙提出が続きます。施行後に提起された事件はmints(将来的にはTreeeS)での提出が義務。同じ弁護士が紙提出の事件とmints提出の事件を同時並行で処理する過渡期が数年間続くことになります。
リスク⑤:情報の不透明さ
最高裁はTreeeSの導入計画に関する情報公開請求に対して不開示決定を行っており、開発ベンダー名も非公開です。導入時期・仕様の詳細が不明確な中で、弁護士は「不確実な未来に向けた準備」を強いられています。
弁護士が今とるべき5つの対策
対策①:mints対応を最優先にする(TreeeSは待たない)
TreeeSの導入時期は不透明ですが、mintsの義務化日(2026年5月21日)は確定しています。まずmintsアカウントの登録と操作習熟を最優先にしてください。
mintsアカウント登録率は2025年10月時点で約64%にとどまり、約1.7万人の弁護士が未登録です。施行前の登録なら本人確認資料の提出が不要で簡便ですので、まだの方は今すぐ登録を。
対策②:「mints/TreeeS両対応」を明言しているツールを選ぶ
DXツールを選定する際は、TreeeS導入後もサポートが継続されるかどうかを確認してください。mintsに特化しすぎたツールは、TreeeS移行時に使えなくなるリスクがあります。
対策③:事務所内の「閲覧ルール」を策定する
電子送達の効力は、弁護士本人だけでなく補助者がシステム送達の書類を閲覧した時点でも発生します。「誰が・いつ・何を閲覧するか」を事務所内で明確にルール化し、控訴期間の起算点を見逃さない体制を構築しましょう。このルールはmints・TreeeSのどちらでも共通して必要です。
対策④:PDF作成スキルを事務所全体で底上げする
mintsでもTreeeSでも、PDFファイルのアップロードは引き続き主要な提出方式です。パスワード付きPDFの回避、A4/A3サイズの遵守、ファイル名50文字制限、メタデータの削除——これらのPDF作成スキルはシステムが変わっても不変です。
対策⑤:データのローカル保存を習慣化する
mintsでは事件終了後にアップロード済みデータにアクセスできなくなります。TreeeSでもデータ保持ポリシーがどうなるかは未定です。提出したファイルは必ずローカルにダウンロード保存する習慣を今から身につけておきましょう。
AILEXは二重移行を見据えて設計されています
AILEX(エーアイレックス)は、mints義務化への対応を起点に、TreeeS導入後もシームレスに移行できるよう設計されたAIソリューションです。
- mints/TreeeS両対応を明言:TreeeS導入時にはAILEX側のアップデートで対応。弁護士の再学習コストを最小化
- PDF作成は普遍的なスキル:AILEXのPDF自動変換エンジンは、システムが変わっても活きる機能
- 送達管理は法律に基づく機能:1週間ルールは改正民訴法に規定された仕組みであり、mints/TreeeSを問わず不変
- AI提出前チェック:ファイル形式・サイズ・証拠番号など、基本的なバリデーションはシステムが変わっても必要
二重移行の不確実性に振り回されないために、「変わるもの」ではなく「変わらないもの」に投資するのが賢明です。AILEXはまさにその「変わらないもの」を提供します。
本記事は2026年3月時点の公開情報に基づいて作成しています。TreeeSの導入時期・仕様は最高裁判所の方針により変更される可能性があります。本記事は法的助言を構成するものではありません。
運営:AILEX合同会社(info@ailex.co.jp)
顧問弁護士事務所:弁護士法人えそら