司法アクセスとデジタルデバイド|mints義務化と「本人訴訟7%時代」の構造
「本人訴訟7%時代」の到来
地裁民事第一審通常訴訟における双方本人訴訟の割合は、約10年で20%から7%へと激減しました(裁判所データブック2024)。原告側の約90%は弁護士を選任しています。mints義務化は弁護士向けの制度であり、この構造の中で施行されました。
IT化のパラドックス
IT化のメリットを最も受けにくい本人訴訟当事者層は、すでに構造的に少数派化しています。IT化を進めることでこの少数派はさらに減るかもしれませんが、それは「弁護士費用を払える人の司法アクセスは改善するが、払えない人には悪化する」という選別効果に転化しうる側面があります。
司法アクセスの三層
第一層:物理的アクセス
裁判所の所在地・手続所要時間。IT化が最も改善する層。ウェブ会議・電子記録閲覧・オンライン申立てで移動コストが大きく低下。
第二層:経済的アクセス
弁護士費用・訴訟手数料。IT化が部分的に改善。インターネット申立て時の手数料減額はあるが、弁護士費用そのものは変わらない。
第三層:認知的アクセス
手続を理解し書類を作成する能力。IT化がむしろ障壁を増やす可能性。操作習熟という新たな認知負荷が加わる。
「潜在訴訟」の不可視性
弁護士費用を払えず、本人訴訟をやり遂げる自信もなく、訴訟を諦める人々は司法統計に表れません。本人訴訟7%という数字は「やった人」の割合であり「やれなかった人」を含みません。
憲法32条の再構成
「裁判を受ける権利」(憲法32条)は、IT化により物理的アクセス障壁が解消される一方、デジタル弱者という新たなアクセス障壁が生まれる構造の中で再構成されつつあります。
残された課題
- 本人サポート窓口の標準化(地域差の解消)
- 潜在訴訟の可視化
- 司法書士・パラリーガルの本人訴訟支援の位置づけ
AILEXで弁護士の生産性を高める
AILEX(エーアイレックス)のAI訴訟支援で弁護士の業務効率を高め、より多くの依頼者に対応できる体制づくりを支援します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
運営:AILEX合同会社(エーアイレックス)|顧問弁護士事務所:弁護士法人えそら