弁護士が編集できる構造化データとして自動抽出・保存
事件に紐づく資料をAIが読み込み、関係者マップ、請求の矢印図、証拠付きタイムライン、弱点リストを自動生成。DOCX・PNGでの出力にも対応。
2026年2月 | AILEX合同会社
この記事の要約
AILEXに「AI事件分析」機能が加わりました。事件に紐づくPDF・画像・文書等の資料をAIが自動解析し、関係者の人物相関図、請求構造の矢印図(要件チェックリスト付き)、証拠と紐づいた時系列タイムライン、争点・弱点の一覧(追加証拠の提案付き)を構造化データとしてデータベースに保存します。
弁護士はすべてのデータを自由に追加・修正・削除でき、分析レポートのDOCX・エクセル出力や図面のPNG出力にも対応。AIの自動抽出結果を起点に、弁護士自身の判断で情報を精査・補完していくワークフローを実現します。
目次
- 事件分析の「見えない時間」を可視化する
- AI事件分析でできること — 4つのタブ
- AIが自動抽出する7つのデータ
- 使い方ガイド — 3ステップで分析完了
- 弁護士による手動編集 — 追加・修正・削除
- エクスポート機能 — DOCXレポートとPNG図面
- セキュリティとプライバシー保護
- 従来のワークフローとの比較
- よくあるご質問(FAQ)
1. 事件分析の「見えない時間」を可視化する
訴訟案件を受任した弁護士が最初に行うのは、事件の全体像を把握することです。依頼者から預かった契約書、メール、領収書、写真。相手方から届いた書面。裁判所からの通知。これらの資料を読み込み、頭の中で関係者を整理し、時系列を組み立て、請求の根拠を検討し、弱点を洗い出す。
この「事件分析」のプロセスは、弁護士の専門能力の中核でありながら、外からは見えにくい作業です。日本弁護士連合会の調査によれば、弁護士の年間総労働時間は平均2,321時間。そのうち、書面作成やリサーチに費やされる時間が大きな割合を占めます。
特に1〜5名規模の小規模事務所では、事務職員を十分に確保できないケースが多く、弁護士自身が資料の整理・分析・図表化のすべてを担っています。手書きのメモや頭の中の整理に頼り、「関係図を描いてみたが途中でやめた」「時系列表を作りかけて放置した」という経験は、多くの弁護士に共通するものではないでしょうか。
弁護士の声(AILEXパイロットユーザーより): 「情報を整理してくれて、かつ請求の可能性を分析してくれるのであれば相当楽になる。弱いポイントや弱い部分を指摘してくれるのも嬉しい。」
AILEXの「AI事件分析」機能は、このプロセスを自動化するものではありません。弁護士の分析作業を起動し、加速するための「たたき台」を自動生成する機能です。AIが抽出した関係者・時系列・請求構造・弱点は、あくまでドラフトです。弁護士が確認し、修正し、補完することで、初めて実務で使える分析資料になります。
2. AI事件分析でできること — 4つのタブ
事件詳細画面に新設された「AI事件分析」セクションは、4つのタブで構成されています。各タブは、AIが生成した構造化データの表示と、弁護士による手動編集の両方に対応しています。
| タブ | 機能 |
|---|---|
| 🔗 関係図 | 関係者をノード、関係を矢印で表示。原告側は青、被告側は赤で色分け |
| ⚖️ 請求構造 | 請求主体→相手方の矢印図。要件チェックリスト・証拠リンク付き |
| 📅 時系列+証拠 | 上→下のタイムライン。各イベントに証拠の紐づけ表示 |
| ⚠️ 争点・弱点 | 種別と重要度のバッジ付き一覧。追加証拠の提案と推奨対応策 |
タブ1: 関係図
関係者をノード(人物は角丸四角、法人は楕円)、関係を矢印で表示します。原告側は青、被告側は赤、第三者はグレーで色分け。関係者の一覧表示では、氏名・役割・役職・立場・別名を確認・編集できます。
タブ2: 請求構造
請求主体から相手方への矢印図に、請求権の名称・法的根拠(条文)・請求額を付記。各請求には要件チェックリストがあり、法律要件ごとに充足(☑)/未充足(☐)を一覧表示。対応する証拠番号も紐づきます。反訴・抗弁も別矢印で表現されます。
タブ3: 時系列+証拠
上から下へ並ぶタイムライン形式で、各イベントに日付・要約・関与者・重要度を表示。各イベントには証拠の紐づけ(証拠番号、ページ、抜粋テキスト)があり、どの事実がどの証拠で裏づけられるかを一目で確認できます。重要な転換点(契約締結、紛争発生、訴訟提起等)は★マーク付きで強調表示されます。
タブ4: 争点・弱点
弱点の種別(矛盾、未立証、証拠不足、時系列の抜け、被請求リスク、法的リスク)と重要度(高・中・低)をバッジで表示。各弱点に対して「必要な追加証拠の提案」と「推奨される対応策」がAIによって付記されます。「対応済み」ボタンで進捗管理も可能です。
3. AIが自動抽出する7つのデータ
「AI自動分析を実行」ボタンをクリックすると、事件に紐づく資料(PDF、画像、文書等)をAIが読み込み、以下の7つのデータを構造化して抽出・保存します。
| # | 抽出データ | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 関係者一覧 | 人物・法人の氏名、別名(通称)、個人/法人/行政の区分、役割(原告本人・被告代表者・証人等)、役職、原告側/被告側/第三者の立場 |
| 2 | 関係者の関係 | 誰と誰がどういう関係か — 契約、雇用、不法行為、代理、親族、取引、出資等。関係の説明ラベル(例:「売買契約の売主→買主」)も付記 |
| 3 | 時系列イベント | 日付(年月日)、出来事の要約と詳細、関与者、重要度(高・中・低) |
| 4 | 証拠の紐づけ | 各時系列イベントに対応する証拠番号(甲1、乙2等)、ページ番号、証拠からの抜粋テキスト |
| 5 | 請求候補 | 請求主体→相手方、請求権の名称、法的根拠(条文)、請求額、要件のチェックリスト(各要件の充足/未充足と対応証拠)、反訴/抗弁も含む |
| 6 | 被請求リスク | 相手方から主張されうるリスク。具体的内容、重要度、対抗に必要な証拠、推奨される対応策 |
| 7 | 弱点 | 当方の弱点を6種別(矛盾、未立証、証拠不足、時系列の抜け、法的リスク、その他)で分類。各弱点に「何の追加証拠があれば改善できるか」を提案 |
構造化保存のメリット: 抽出されたデータはテキストではなく、個別のレコードとしてデータベースに保存されます。そのため、弁護士が1件ずつ追加・修正・削除でき、図の自動再生成やDOCXレポートへの反映も即座に行えます。従来のAIチャットのようにテキスト出力を手動でコピー&ペーストする必要はありません。
4. 使い方ガイド — 3ステップで分析完了
ステップ1: 事件に資料を登録する
事件詳細画面の「文書管理」セクションから、契約書、メール、書面、写真等の資料をアップロードします。PDF・画像はAI-OCRで自動テキスト化されます。ZIPファイルでの一括アップロードにも対応しています。資料が多いほど、AIの分析精度が向上します。
ステップ2:「AI自動分析を実行」をクリック
事件詳細画面の「AI事件分析」セクションにある緑色のボタンをクリックします。AIは4段階の解析を順番に実行します。
- 関係者抽出 — 人物・法人を特定し、相互の関係を分析
- 時系列抽出 — 出来事を時系列に整理し、証拠を紐づけ
- 請求分析 — 請求候補の要件充足性を評価
- 弱点分析 — 当方の弱点とリスクを網羅的に検出
処理時間は資料量に応じて約30〜60秒です。
ステップ3: 4つのタブで結果を確認・編集する
分析完了後、関係図・請求構造・時系列・弱点の4タブにデータが表示されます。各タブでデータの確認と手動編集を行い、必要に応じてDOCXレポートやPNG図面を出力します。
AIの出力はドラフトです。弁護士の確認・修正を経て、初めて実務資料として使えるものになります。
再分析について: 新しい資料が追加された場合や、相手方から書面が届いた場合は、再度「AI自動分析を実行」をクリックしてください。AI生成分のみが更新され、弁護士が手動で追加したデータは保持されます。
5. 弁護士による手動編集 — 追加・修正・削除
AIが抽出したデータは、あくまで出発点です。弁護士は各タブで以下の操作を行い、自身の判断でデータを精査・補完できます。
関係者の編集
各関係者カードの「✏️ 編集」ボタンで氏名・役割を修正、「🗑️ 削除」ボタンで不要なエントリを削除できます。「+追加」ボタンからは、AIが見落とした関係者を手動で登録できます。入力項目は以下の通りです。
- 氏名 / 法人名
- 役割(原告本人、被告代表者、証人等)
- 立場(原告側 / 被告側 / 第三者 / その他)
- 役職
- 別名(カンマ区切りで複数登録可)
- 区分(個人 / 法人 / 行政 / その他)
時系列イベントの編集
各イベントの日付・要約・関与者・証拠番号・重要度を個別に修正できます。弁護士の記憶やヒアリングメモに基づいて、AIが抽出できなかったイベント(口頭でのやりとり、電話の内容等)を追加することで、より完全な時系列が構築できます。
請求候補の編集
AIが提案する請求権候補に対して、弁護士の法的判断に基づいた修正が可能です。請求権の名称・法的根拠・請求額の修正のほか、新たな請求候補の追加や、方針変更に伴う請求の削除にも対応しています。
弱点の管理
各弱点に対して3つのアクションがあります。
- ✏️ 編集 — タイトル・詳細・重要度を修正
- ✅ 対応済み — 弱点を非表示にする(データは保持。進捗管理に利用)
- 🗑️ 削除 — 不要な弱点を完全に削除
AI生成分と手動追加分の区別: データベース上では、AIが生成したレコードと弁護士が手動で追加したレコードが区別されています。再分析を実行すると、AI生成分のみが上書きされ、手動追加分はそのまま残ります。
6. エクスポート機能 — DOCXレポートとPNG図面
分析結果を事務所内での共有やクライアントへの説明資料に使えるよう、2種類のエクスポートに対応しています。
DOCX レポート出力
「📥 DOCX出力」ボタンをクリックすると、以下の4セクションを含むWord文書が即座にダウンロードされます。
| セクション | 内容 |
|---|---|
| 関係者一覧 | 氏名、役割、役職、立場、別名。原告側/被告側/第三者でグループ化 |
| 請求構造一覧 | 各請求の主体→相手方、請求権名称、法的根拠、請求額、要件チェックリスト(☑/☐)、対応証拠 |
| 時系列(証拠紐づけ付き) | 日付順に出来事を一覧表示。各イベントに関与者、証拠番号、ページ、抜粋を付記。重要イベントは★マーク |
| 弱点・リスク一覧 | 種別(矛盾/未立証/証拠不足等)と重要度でソート。各弱点に「必要な追加証拠」と「推奨対応」を付記 |
DOCXファイルは游明朝フォントのA4縦組みで出力され、事件名・事件番号・作成日時がヘッダーに自動挿入されます。文末には「本レポートはAIによるドラフトです。最終判断は弁護士が行ってください。」という免責文が自動付記されます。
PNG 図面出力
「📷 PNG出力」ボタンをクリックすると、現在表示中の図面(関係図、請求構造図、時系列図のいずれか)が高解像度(2倍スケール)のPNG画像としてダウンロードされます。
クライアントへのメール添付や、プレゼン資料への挿入にお使いいただけます。
7. セキュリティとプライバシー保護
弁護士が取り扱う情報には、依頼者の秘密が多数含まれます。AI事件分析機能は、AILEXの既存のセキュリティ基盤の上に構築されており、以下の保護措置が適用されます。
PII自動マスキング
AIへの送信前に、資料テキスト中の個人情報(氏名、住所、電話番号、銀行口座等)を自動的にプレースホルダーに置換します。AIは匿名化されたテキストを分析し、結果の保存時に元の情報が復元されます。依頼者の個人情報が外部AIサービスに平文で送信されることはありません。
APIプロバイダのデータ取扱い
事件分析にはOpenAI GPT-4oを使用しています。OpenAIのAPI利用においては、送信データがモデルの学習に使用されることはありません。AILEXでは、利用規約で学習利用のオプトアウトが確認されたAPIプロバイダのみを採用しています。
アクセス制御と監査ログ
AI事件分析のすべての操作(分析実行、データ閲覧、CRUD操作)には認証が必要です。分析の実行は高優先度の監査ログとして記録され、誰が・いつ・どの事件で分析を実行したかの追跡が可能です。
弁護士情報セキュリティ規程への対応: 2024年6月施行の日弁連弁護士情報セキュリティ規程(会規第117号)は、外部サービス利用時の「信頼性の吟味」と「守秘義務違反を招かない注意」を求めています。AILEXのPII自動マスキング、APIプロバイダの学習不使用ポリシー、監査ログ機能は、同規程への適合を支援するために設計されています。
8. 従来のワークフローとの比較
従来のワークフロー
- 資料を1つずつ読み込み、メモ帳やノートに手書きで整理
- 関係図はホワイトボードか手書き。デジタル化されない
- 時系列表はExcelで手動作成。証拠との紐づけは頭の中
- 請求の要件チェックは経験と記憶に依存
- 弱点は「気づいたら対応する」方式。漏れが起きやすい
- クライアントへの説明資料を別途作成する手間
AILEX AI事件分析
- 資料をアップロードしてボタン1つで全体像を自動抽出
- 関係図はMermaid.jsで自動描画。PNG出力可能
- 時系列は各イベントに証拠番号・ページ・抜粋が自動紐づけ
- 請求の要件を法律要件ごとにチェックリスト化。充足/未充足を判定
- 弱点を6種別に分類し、追加証拠の提案まで自動生成
- DOCXレポートをワンクリックで出力。そのまま共有可能
重要なのは、AIが弁護士の仕事を「置き換える」わけではないということです。AIは資料を機械的に読み取り、パターンを抽出するのが得意です。一方、弁護士は法的な判断、戦略の立案、依頼者との信頼関係の構築が不可欠な仕事です。AI事件分析は、弁護士が判断に集中するための「下準備」を自動化します。
9. よくあるご質問(FAQ)
Q. どのような資料が分析対象になりますか?
事件に紐づけて登録されたすべての文書が対象です。PDF、画像(AI-OCRでテキスト化)、テキストファイル等が含まれます。テキストが抽出できない文書(画像のみのスキャンPDF等)は、事前にOCR処理が完了している必要があります。
Q. 資料が少ない場合でも使えますか?
はい、使えます。ただし、分析精度は資料の量と質に依存します。訴状と答弁書の2通だけでも基本的な関係者と請求構造は抽出されますが、詳細な時系列や弱点の分析には、契約書、メール、領収書等の追加資料があると効果的です。
Q. 分析結果の精度はどの程度ですか?
AIの抽出結果はドラフト(たたき台)です。関係者名や日付のような明確な情報は高精度で抽出されますが、法的な評価(請求の強弱、弱点の重要度等)はAIの推定であり、弁護士の専門的判断による確認が必須です。すべてのAI出力に対して、弁護士による精査・修正を前提としています。
Q. 再分析すると、自分で追加したデータは消えますか?
いいえ、消えません。再分析ではAIが生成したレコードのみが上書きされます。弁護士が手動で追加したレコード(関係者、イベント、請求、弱点)はそのまま保持されます。
Q. 複雑な事件(当事者が多数、大量の書証)でも対応できますか?
対応可能ですが、AIに送信できるテキスト量には上限があります(現在約8,000文字)。大量の資料がある場合は、主要な書面(訴状、答弁書、準備書面等)が優先的に分析されます。今後のアップデートで、対応テキスト量の拡大を予定しています。
Q. クライアント(依頼者)への同意取得は必要ですか?
AILEXのPII自動マスキング機能により、依頼者の個人情報は匿名化された状態でAIに送信されます。ただし、各事務所のプライバシーポリシーや依頼者との契約内容に応じて、AI利用についての説明方針をご判断ください。AILEXは弁護士の業務支援ツールであり、AIの出力結果が依頼者に直接提供されることはありません。
Q. 刑事事件にも使えますか?
現在のAI事件分析は民事訴訟を主な対象として設計されています(「請求権」「原告/被告」等の概念が前提)。刑事事件の資料をアップロードして分析を実行することは可能ですが、時系列と関係者の抽出が中心となり、請求構造の分析は適合しない場合があります。
Q. 分析結果をそのまま裁判所に提出できますか?
いいえ。分析結果はAIによるドラフトであり、弁護士の確認・修正を経ていない状態での提出は不適切です。AILEXが出力するDOCXレポートやPNG図面は、弁護士の起案作業や依頼者への説明資料のベースとしてお使いください。最終的な訴訟書面の作成・提出は、弁護士ご自身の責任において行ってください。
Q. フリープランでも使えますか?
はい。AI事件分析機能は、フリープランを含むすべてのプランでご利用いただけます。
事件の全体像を、30秒で可視化しませんか
関係図・請求構造・時系列・弱点。 AIが「たたき台」を作り、弁護士が仕上げる。
免責事項: 本記事の内容はAILEXの機能紹介を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。AI事件分析機能が生成するすべてのデータ(関係者一覧、時系列、請求候補、弱点分析等)は、弁護士の確認・修正を前提としたドラフト・参考資料です。AIの出力を弁護士が精査することなくそのまま使用することは不適切であり、最終的な法律判断は弁護士ご自身の責任において行ってください(弁護士法第72条)。PII自動マスキング機能は個人情報保護を支援するものですが、すべての個人情報の完全な匿名化を保証するものではありません。本記事の情報は2026年2月時点のものであり、機能仕様は予告なく変更される場合があります。
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