日弁連「生成AI利活用に関する注意事項」とは|5つのポイントとmints時代の実務対応
2025年9月、日弁連のAI戦略ワーキンググループが「弁護士業務における生成AIの利活用等に関する注意事項〜適切な利活用に向けた5つのポイント」を取りまとめました。mintsの全面義務化で裁判書類が電子データ化した今、生成AIを業務に取り込む弁護士は急増しています。本記事では、公開されている情報の範囲でこの注意事項の位置づけと論点を整理し、mints時代の実務にどう落とし込むかを解説します。
注意事項の基本情報──まず「会員限り」の資料であること
- 作成主体:日本弁護士連合会 AI戦略ワーキンググループ
- 公表時期:2025年(令和7年)9月
- 性格:日弁連としての公式見解を示すものではない旨が明記され、綱紀・懲戒の直接の基準とすることも想定されていないと解説されています
- 入手方法:会員限りの資料とされており、全文は日弁連の会員専用サイトで確認する必要があります
会員外への配布を控えるよう明記された資料のため、本記事でも内容の転載は行わず、弁護士会の広報誌や公開されたセミナー情報など公開情報から把握できる範囲で論点を整理します。全文は必ず会員専用サイトでご確認ください。なお、東京弁護士会の会報LIBRA 2026年7-8月号が「弁護士業務における生成AIの利活用と留意点」を特集しており、公開資料として読める貴重な解説になっています。
公開情報から分かる主要な論点
公開されている解説類を総合すると、注意事項が扱う論点はおおむね次のように整理できます。いずれも新しい義務を課すものではなく、従来から弁護士が負っている義務を生成AIという新しい道具に当てはめ直したものと受け止められています。
| 論点 | 実務での問いかけ |
|---|---|
| 守秘義務 | 依頼者を特定し得る情報を外部の生成AIに入力していないか |
| 誤情報(ハルシネーション) | 架空の裁判例・条文をそのまま書面に引用していないか |
| 成果物への最終責任 | AI出力を弁護士自身が検証・確認してから使っているか |
| 職務上の倫理 | 非弁提携や利益相反など既存の規律との関係を意識しているか |
| 情報セキュリティ | 各弁護士に策定が求められる基本的な取扱方法(いわゆるキホトリ)を生成AI利用に合わせて見直したか |
なぜ「mints時代」に読むべきなのか
2026年5月21日の全面義務化により、訴状・準備書面・証拠説明書・訴訟記録はすべて電子データとして手元に集まるようになりました。データ化された書面は生成AIの入力に使いやすく、要約・下書き・翻訳などへのAI活用のハードルが一気に下がったのが現在地です。使えば守秘義務・誤情報リスクと隣り合わせ、使わなければ効率で差がつく──この緊張関係を整理する道具立てとして、注意事項の考え方を押さえておく価値があります。AIと守秘義務の詳細は弁護士のAI活用と守秘義務の解説もご覧ください。
業界の議論はいままさに進行中
弁護士×生成AIは、2026年の弁護士業界で最も動きの速いテーマの一つです。各弁護士会の会報で特集が組まれ、研修・セミナーも相次いでいます。2026年9月5日には福岡で第24回弁護士業務改革シンポジウムが開催され、生成AIを扱う分科会が複数組まれるなど、議論は「使うか使わないか」から「どう安全に組み込むか」へ完全に移りました。注意事項は、この議論に参加するための共通言語と位置づけられます。
本人訴訟・依頼者側のAI利用という新しい論点
見落とされがちですが、生成AIを使うのは弁護士だけではありません。相手方本人や依頼者がAIで作成した書面・資料に接する場面も増えており、架空判例の引用に気づけるかどうかは、こちら側の検証力の問題になります。AIリテラシーは攻めだけでなく守りのスキルでもあるのです。
事務所で今日からできる5つのアクション
- 会員専用サイトで注意事項の全文を入手し、所内で回覧する
- 利用中のAIサービスについて入力データが学習に使われない設定・契約かを確認する
- 依頼者名・事件番号など特定情報を入力しない運用ルールを文書化する
- AI出力は下書きと位置づけ、引用判例・条文は必ず原典に当たることを所内標準にする
- キホトリ(情報セキュリティの基本的な取扱方法)を生成AI利用を前提に改定する
AILEXの設計思想──「AIは下書き、最終判断は弁護士」
AILEX(エーアイレックス)は、まさにこの「AIは下書き・最終確認は弁護士」という考え方を前提に設計された、mints実務のためのAI支援ツールです。証拠説明書の立証趣旨や定型文のAI生成はあくまで叩き台の提供であり、提出前チェック機能は弁護士自身の最終確認を効率化するためのものです。生成AIを避けるのではなく、注意事項の趣旨に沿った形で使いこなす第一歩として、AILEXをご活用ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
運営:AILEX合同会社(エーアイレックス)|顧問弁護士事務所:弁護士法人えそら