弁護士のAI活用と守秘義務問題|mintsにAIを使う際の注意点
弁護士のAI活用における守秘義務の壁
日弁連は2025年度会務執行方針で「弁護士がAI技術を利活用すること」を明記しました。しかし多くの弁護士が懸念するのが、弁護士法第23条の守秘義務との衝突です。
依頼者から受けた情報(氏名・住所・事件内容・相手方情報等)を外部AIサーバーに送信することは、守秘義務に違反する可能性があります。一人ひとりの依頼者に「AIに情報を送信しますが同意しますか?」と確認を取ることは現実的ではありません。
マスキングの限界と、AILEX v2 の考え方
送信前に氏名などを記号に置き換える「マスキング」は、電話番号のように形の決まった情報には有効ですが、氏名や住所の表記の揺れ、書類に初めて出てくる人名までは漏れなく見つけられません。マスキングだけで「個人情報が一切送信されない」と言い切ることはできません。
AILEX の従来版は、一部の機能で外部の AI API に送る前にマスキングを行っていました。現在の AILEX v2 は、AI の推論を日本国内(Amazon Bedrock の東京・大阪リージョン)で完結させ、海外の AI 事業者に事件記録を送らない構成に改めています。入力は学習に使われず、操作は監査ログに残ります。
依頼者への説明や同意が必要かどうかは、委任契約の内容や守秘義務に照らして、各事務所が判断することになります。AILEX は、その判断に必要な処理の内容・保管場所・安全管理措置を資料として提供します(個人情報保護法と依頼者の同意についての当社の整理)。
mints実務でのAI活用例
①証拠説明書の自動生成
10件の証拠書類のPDFを読み込み、各証拠の性質をAIが分析。号証番号・標目・作成者・作成日・立証趣旨を含む証拠説明書を数分で自動生成します。従来は1件ずつ手作業で記入していた作業を大きく減らせます。
②提出前の整合性チェック
証拠番号の通番、準備書面と証拠の対応関係、当事者名の表記揺れ(「田中一郎」と「田中 一郎」等)、日付・金額の矛盾を自動検出します。人間が見落としがちなミスをAIが発見します。
③相手方書面の分析
相手方の準備書面をAIが分析し、反論すべきポイントを優先度付きで自動抽出。反論準備書面のドラフトも自動生成します。
AI=弁護士の判断を代替するものではない
AIは証拠の法的評価・主張の戦略立案・依頼者への助言という弁護士の本質的な仕事を代替するものではありません。AILEXが担うのは、mints提出作業の機械的な部分の自動化と確認サポートです。弁護士がより高度な判断業務に集中できる環境を作ることが目的です。