mints利用実態の最新データ|施行直前調査で見えた3つの断層
登録は進んだ。しかし運用は追いついていない
mintsをめぐる数字は、義務化の前後で様相が大きく変わりました。かつて広く引用された「弁護士の65.5%がmintsを一度も使ったことがない」という数値は2024年の調査に基づくもので、現在の実態を表していません。最新の調査結果は次のとおりです。
| 指標 | 数値 | 母数 |
|---|---|---|
| mints利用者登録が完了している | 86.7% | 301名 |
| 未登録 | 13.3% | 301名 |
| 担当事件で「実際の裁判では使用したことがない」 | 39.1% | 261名 |
| 使用経験が1〜4件 | 46.0% | 261名 |
| 操作を「すべて自分でしている」 | 71.7% | 159名 |
| 一部を秘書・事務員に任せている | 16.4% | 159名 |
断層①:登録率86.7%と実使用39.1%未経験のギャップ
登録は義務化を前に一気に進みました。しかし登録した弁護士の約4割は、実際の裁判でmintsを一度も使っていない状態で施行日を迎えています。さらに使用経験がある層でも「1〜4件」が46%を占めます。
これが意味するのは、義務化初期において大多数の弁護士が「ほぼ初めての操作」を本番の事件で行うということです。ミスの発生確率が構造的に高い時期に入っているとみるべきです。
断層②:約85%が紙ファイルを作り続けている
紙の記録運用についての回答は次のとおりです。
- きちんと綴じた紙ファイルを作る:57.5%
- 簡略化した紙ファイルを作る:27.6%
- 紙ファイルは作らない:14.9%
合計すると約85%が何らかの形で紙ファイルを継続しています。提出は電子、手元は紙という二重管理が、施行後の標準的な実務になっているということです。事件記録の電子データ活用について「多く利用する」26.8%+「やや電子データ」21.5%で約48%にとどまることも、この過渡期性を裏づけます。
断層③:作業が弁護士本人に集中している
操作を「すべて自分でしている」が71.7%という数字は、事務局への業務移管が進んでいないことを示します。mintsには補助者アカウント機能があり、弁護士1人あたり最大5名の補助者を登録できます(2025年10月25日の改修で3名から5名に拡大)。制度は用意されているのに使われていない、という状態です。
背景には、補助者が送達対象文書を閲覧すると親ユーザーである弁護士を受送達者として送達の効力が生じるという仕組みへの警戒があると考えられます。権限設計を誤ると期間管理の事故に直結するため、慎重にならざるをえません。
数字から導かれる実務上の結論
- 初回操作を本番で行う弁護士が多数派である以上、提出前チェックの仕組み化が最優先である
- 紙と電子の二重管理が当面続く前提で、ファイル命名規則と保存場所を事務所で統一する必要がある
- 補助者への権限移譲は、送達リスクを理解したうえで設計すれば作業時間を大きく削減できる
統計の読み方に関する注意
本記事で扱った数値は有効回答301名の任意回答調査であり、全弁護士を代表する悉皆調査ではありません。また調査時点は施行直前です。施行後の利用件数・電子申立て件数に関する公的統計は、本記事執筆時点では公表されていません。数値を引用する際は、母数と調査時点を必ず併記してください。
AILEXで「初回でも事故らない」体制をつくる
AILEX(エーアイレックス)は、mints提出前のPDF要件チェック、証拠番号の自動付番、送達・納付期限の管理を一元化します。使用経験の浅さを、仕組みで補うためのツールです。
統計が示すのは「慣れていない人が本番で操作している」という現実です。個人の習熟を待つのではなく、チェックを自動化する方が確実に早いという判断ができます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
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