コンフリクトチェックとは|弁護士の利益相反確認の手順と型
コンフリクトチェックとは
コンフリクトチェックとは、新たな事件を受任する前に、その受任が既存の依頼者や過去の事件との関係で利益相反にあたらないかを確認する作業を指します。弁護士法25条および弁護士職務基本規程が定める職務を行い得ない事件に該当しないかを、事務所として組織的に検証する手続です。
単なる社内ルールではありません。見落とせば辞任、懲戒、損害賠償という三重のリスクに直結します。しかも問題が顕在化するのは受任からかなり後であることが多く、その時点では事件が進行しており、辞任の影響は依頼者にも及びます。
何を照合するのか
チェックの対象は「相手方の氏名」だけではありません。実務上照合すべき項目は複数あります。
| 照合対象 | 確認の観点 |
|---|---|
| 相手方本人 | 過去・現在の依頼者と一致しないか |
| 相手方の関係会社・グループ企業 | 親会社・子会社・関連会社を含めて照合できているか |
| 相手方の代表者・役員 | 個人として依頼を受けたことがないか |
| 共同被告・共同原告 | 複数当事者間で利害が対立していないか |
| 過去の相談のみの案件 | 受任に至らなかった相談も対象になりうる |
| 同一事務所の他の弁護士の案件 | 事務所全体での確認ができているか |
実施すべきタイミング
- 法律相談の予約を受けた時点 — 相談を受けること自体が後の受任を制約しうるため、可能なかぎり早い
- 受任前(委任契約の締結前) — 最低限ここでは必須
- 当事者が追加・変更された時 — 共同訴訟人の追加、訴訟引受け、当事者の変更時
- 事務所に新たな弁護士が加入した時 — 加入者が持ち込む過去案件との照合が必要
見落としが起きやすい典型パターン
- 表記ゆれ:「株式会社○○」と「(株)○○」、旧商号と新商号、氏名の旧姓
- グループ企業:相手方単体では一致しないが、親会社が既存依頼者だった
- 相談止まりの案件:受任していないため事件管理台帳に残っておらず、照合対象から漏れる
- 終了案件:完結した事件を検索対象から外している
- 複数拠点・複数弁護士:各自がローカルで管理しており、横串の検索ができない
問題は「照合対象が増え続ける」こと
事務所の歴史が長くなるほど、また所属弁護士が増えるほど、照合すべき過去案件は累積します。数百件を超えたあたりから、Excelや紙の台帳を目視で確認する運用は現実的でなくなります。表記ゆれを人間の目で吸収することも、実質的に不可能になります。
一方で、mints導入により事件処理そのものは電子化が進み、事件数を増やしやすい環境が整いつつあります。処理能力が上がるほど、チェック対象も増えるという構造です。
AILEXでコンフリクトチェックを事件管理に統合する
AILEX(エーアイレックス)は、事件情報を一元管理し、当事者名の照合を横断的に行えます。表記ゆれを含む名寄せや、相談段階の案件を含めた検索により、人手による目視確認では拾いきれない一致を検出できます。
コンフリクトチェックは、やって当たり前で、抜けたときだけ致命的になる種類の業務です。属人的な注意力ではなく、検索可能なデータ構造で担保するのが、事務所を守る現実的な方法です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
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