公開日: 2026年2月
カテゴリ: リーガルテック / コンプライアンス / AI法務
著者: AILEX合同会社
はじめに ── いま、弁護士業界が直面するジレンマ
「AIツールを導入したいが、弁護士法に違反しないか不安だ」──これは、AIリーガルテックの導入を検討するほぼすべての弁護士事務所が口にする言葉です。
日本の弁護士業界は、いまかつてない変革期にあります。弁護士一人あたりの年間労働時間は約2,321時間に達し、法律相談件数は増加の一途をたどる一方、弁護士の平均所得はこの20年で約49%低下しました。2026年には民事裁判のIT化が本格始動し、デジタル対応は避けて通れません。しかし、依然として98%の法律事務所がFAXを日常的に使用しているという現実があります。
こうした背景のもと、AI技術は弁護士業務の効率化と品質向上を可能にする有力な手段として注目されています。ところが、「弁護士法第72条(非弁行為の禁止)」との関係が不明確なままでは、弁護士事務所はAIツールの導入に踏み切れません。
本記事では、弁護士法の各条文を丁寧に読み解きながら、AILEX SaaSがなぜ弁護士法に抵触しないと考えられるのか、その法的根拠を詳しく解説します。あわせて、2023年8月の法務省ガイドライン、2026年1月の規制改革推進会議の動向、そして海外の先行事例を踏まえ、AIリーガルテックの適法性に関する最新の全体像をお伝えします。
ご注意: 本記事は法務情報の提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な法律問題については、必ず弁護士にご相談ください。
弁護士法第72条 ── 「非弁行為」禁止の5つの構成要件
弁護士法第72条は、いわゆる「非弁行為」を禁止する条文です。AIリーガルテックの適法性を検討する上で、まずこの条文の構成要件を正確に理解する必要があります。
弁護士法第72条が禁止する「非弁行為」が成立するためには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
- 主体要件: 弁護士又は弁護士法人でない者であること
- 目的要件: 報酬を得る目的であること
- 対象要件: 訴訟事件その他一般の法律事件に関するものであること(「事件性」の存在)
- 行為要件: 鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱うこと
- 業務要件: これを業としてなすこと
違反には2年以下の懲役又は300万円以下の罰金という刑事罰が科され(弁護士法第77条3号)、法人には両罰規定も適用されます。したがって、リーガルテック事業者にとっては、この条文との関係を明確にすることが事業上の最優先課題となります。
なぜ「事件性」がリーガルテックの分水嶺となるのか
5つの要件のうち、リーガルテックサービスの適法性を大きく左右するのが「事件性」です。
「事件性」の解釈をめぐっては、法務省と日弁連で見解が分かれてきた歴史があります。
法務省は従来から「事件性必要説」を採用してきました。これは、弁護士法第72条にいう「法律事件」に該当するためには、具体的な紛争が存在するか、少なくとも紛争が顕在化する蓋然性が認められることが必要だとする立場です。一方、日弁連は「事件性不要説」に立ち、より広い範囲で72条の適用を主張してきました。
最高裁の判例としては、最高裁平成22年7月20日決定が重要です。同決定は、法的紛議が「ほぼ不可避」な案件は72条の「法律事件」に該当すると判示し、事件性必要説に親和的な立場を示しました。
そして、この議論に大きな転換点をもたらしたのが、2023年8月の法務省ガイドラインです。
法務省ガイドライン(2023年8月)── リーガルテック適法化の画期
ガイドライン策定の経緯
2022年6月と10月、AI契約書レビューサービスに関するグレーゾーン解消制度を通じた照会に対し、法務省は「弁護士法第72条に違反すると評価される可能性がある」と回答しました。この回答は業界に大きな衝撃を与え、リーガルテック業界全体に法的不確実性が広がりました。
その後、業界からの強い要望を受けて、2023年8月1日、法務省大臣官房司法法制部は「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」と題するガイドラインを公表しました。AI・契約レビューテクノロジー協会が詳細な解説を公表しているとおり、このガイドラインは、リーガルテック業界にとって画期的な文書となりました。
ガイドラインの4つの柱
このガイドラインは、以下の4つの項目で構成されています。
第1項 ── 「報酬を得る目的」の判断基準
有償サービスの場合、報酬目的の要件は通常充足されます。AILEX SaaSは有償サブスクリプションサービスであるため、この要件は該当し得ることを前提としています。
第2項 ── 「事件性」の判断基準
ここが極めて重要なポイントです。ガイドラインは、事件性について以下のように明記しました。
「通常の業務に伴う契約の締結に向けての通常の話合いや法的問題点の検討については、多くの場合「事件性」がない」
これにより、いわゆる企業法務において取り扱われる契約関係事務のうち、通常の業務に伴うものの多くは、弁護士法第72条の規制対象外であることが明確化されました。
第3項 ── 法律事務の分類
ガイドラインは、AIサービスが提供する機能を「作成支援」「審査支援」「管理支援」に分類し、それぞれの法律事務該当性を整理しました。
第4項 ── 弁護士向けツールのセーフハーバー(AILEX にとって最重要)
そしてAILEXのような弁護士向けツールにとって最も重要なのが、この第4項です。
ガイドラインは、たとえ報酬目的・事件性・法律事務の3要件すべてに該当する場合であっても、以下の条件を満たす場合には弁護士法第72条に違反しないと明記しました。
サービスを弁護士又は弁護士法人に提供する場合であって、当該弁護士又は弁護士法人の社員若しくは使用人である弁護士が、サービスを利用した結果も踏まえて審査対象となる契約書等を自ら精査し、必要に応じて自ら修正を行う方法で利用するとき
さらに、組織内弁護士(企業内弁護士)が同等の方法で利用する場合も同様に適法とされました。
このセーフハーバー規定こそが、弁護士向けAIツールの適法性を制度的に担保する基盤となっています。
AILEXはなぜ弁護士法に抵触しないのか ── 多層的コンプライアンスの設計思想
AILEX SaaSは、上記の法的枠組みを踏まえ、**複数の防御層(レイヤー)**によってコンプライアンスを確保する設計思想を採用しています。
第1層:利用者の限定 ── 弁護士・法律事務所向けツールとしての位置づけ
AILEXは、利用者を弁護士、パラリーガル、法律事務所スタッフに限定したBtoBサービスです。一般消費者に直接法律サービスを提供するプラットフォームではありません。
アカウント作成時には弁護士登録番号の入力を求め、マルチロール認証(admin/attorney/paralegal/staff)により、弁護士の監督下での利用を前提とした権限管理を実装しています。
この設計は、法務省ガイドライン第4項のセーフハーバーに直接対応するものです。2026年1月9日の規制改革推進会議においても、法務省は「利用者が弁護士として業務に用いる場合は、原則として弁護士法第72条違反にはならない」との見解を改めて確認しています。
第2層:AI出力の「参考情報」としての明確な位置づけ
AILEXのすべてのAI機能(AI法律相談チャット、AI文書生成、ファクトチェック)において、AI出力には**「参考情報」としての注意書き**が付されます。
具体的には、システム内の各画面に以下のような表示を設けています。
- AI法律相談チャット:「AIの回答は参考情報です。ファクトチェックを実施し、最終的な法的判断は、ご自身で行ってください」
- AI文書生成:「AI生成結果は弁護士が精査・修正する必要があります」
- ファクトチェック:「ファクトチェック結果も参考情報です。弁護士が出典を確認し、最終判断を行ってください」
これにより、AI出力が直ちに法的助言として依頼者に提供されることを防ぎ、弁護士による**「自ら精査」「自ら修正」**のプロセスを利用フローに組み込んでいます。
第3層:「事件性」の観点からのリスク低減
AILEXが主に支援する業務は、以下のとおりです。
- 法律文書のドラフト作成補助(訴状、答弁書、準備書面、示談書など27種類のテンプレート)
- 法律相談に対する論点整理・判例検索の補助
- 文書管理・事件管理の効率化
これらの業務のうち、文書管理・事件管理はそもそも法律事務に該当しないため、72条の適用対象外です。AI法律相談チャットやAI文書生成についても、弁護士が業務の一環として利用するものである限り、法務省ガイドライン第4項のセーフハーバーが適用されます。
第4層:守秘義務(弁護士法第23条)への対応 ── PII自動マスキングシステム
弁護士法第72条と並んで重要なのが、弁護士法第23条の守秘義務です。弁護士には「職務上知り得た秘密を保持する義務」が課されており、違反は**刑法第134条1項の秘密漏示罪(6月以下の懲役又は10万円以下の罰金)**および弁護士法第56条に基づく懲戒の対象となります。
AILEXがクラウドAPIを通じて外部サービスに情報を送信する以上、この守秘義務との関係を明確にしなければなりません。AILEXは、この課題に対してPII(個人識別情報)自動マスキングシステムを導入しています。
このシステムは、AIへの送信前に個人名、住所、電話番号、その他の機密情報をプレースホルダーに自動置換し、API応答を受信した後に元の情報を復元する仕組みです。これにより、仮にAPIプロバイダー側でデータが保持された場合でも、実質的に意味のある秘密情報は外部に到達しない設計となっています。
さらに、AILEXが利用する各APIプロバイダーのセキュリティ体制は以下のとおりです。
- Anthropic Claude API: APIデータはモデル学習に不使用。2025年9月15日以降、データ保持期間を7日間に短縮。Zero-Data-Retention(ZDR)オプション選択可能。
- OpenAI GPT-4o API: APIデータはデフォルトで学習不使用。不正使用監視目的で30日間保持。ZDRオプション利用可能。
- Perplexity API: デフォルトでZDR(データ保持なし)。基盤モデルのトレーニングに顧客コンテンツ不使用。
すべてのAPIプロバイダーがSOC 2 Type II認証を取得しており、通信はTLS 1.2以上で暗号化されています。
第5層:日弁連情報セキュリティ規程への対応
日弁連が制定し2024年6月1日に施行された弁護士情報セキュリティ規程(会規第117号)は、弁護士に安全管理措置義務を課し、外部サービス利用時には「当該外部サービスの信頼性を十分に吟味し、守秘義務違反を招かないように注意する」ことを求めています。
AILEXは、この規程の要件に対して以下の技術的措置で対応しています。
- アクセス制御: マルチロール認証(admin/attorney/paralegal/staff)、二要素認証(2FA)、LINE Loginとの連携
- 通信の暗号化: TLS 1.2以上による通信暗号化
- 監査ログ: すべての重要操作の記録・追跡が可能
- データ管理: テナント分離によるデータの独立性確保、ローカルハッシュ(SHA256)によるデータ完全性検証
- デュアルLLM構成: GPT-4oとClaudeの冗長構成により、単一障害点を回避
弁護士法第27条・第73条との関係
第27条(非弁護士との提携禁止)── 設計次第でリスク回避可能
弁護士法第27条は、弁護士が第72条~第74条に違反する者から事件の周旋を受けたり、名義を利用させたりすることを禁止しています。
AILEXにおけるリスクは、弁護士を「名義人」としてAIが実質的に法律事務を処理する構造と評価される場合に顕在化します。しかし、AILEXは弁護士向けの業務補助ツールにとどまり、弁護士への顧客紹介や報酬分配の仕組みを持ちません。弁護士が最終的な判断と責任を負う前提であれば、27条違反のリスクは管理可能です。
第73条(譲受権利の実行禁止)── 該当性は低い
弁護士法第73条は「他人の権利を譲り受けて、その権利の実行をすることを業とすること」を禁止しますが、AILEXはユーザーの権利を譲り受ける構造ではないため、73条に直接抵触する可能性は低いと評価されます。
海外の先行事例 ── 世界のリーガルテック規制から学ぶ教訓
AIリーガルテックと法律専門職規制の関係は、日本だけの課題ではありません。海外の先行事例は、AILEXの設計思想の妥当性を裏付ける重要な参照点を提供しています。
米国:DoNotPayの失敗が示す教訓
米国の「DoNotPay」は、「世界初のロボット弁護士」を謳い、大きな注目を集めました。しかし2024年、FTC(連邦取引委員会)から消費者欺瞞行為として**$193,000の和解金**支払いを命じられました。
FTCが指摘した問題点は以下の3つです。
- AIが人間の弁護士レベルかどうかを検証していなかった
- 弁護士を雇用していなかった
- 単にOpenAI ChatGPT APIを利用しているだけだった
この事例が示す最大の教訓は、AIの能力を過大に表現するマーケティングは規制リスクを増大させるということです。AILEXが「参考情報」「弁護士の精査が必要」と一貫して明示する姿勢は、DoNotPayの轍を踏まないための基本設計です。
米国:LegalZoomの20年にわたるUPL訴訟と現在
LegalZoomは、ミズーリ州やノースカロライナ州でUPL(非弁行為)訴訟に直面しましたが、現在はNASDAQ上場企業として成長しています。ノースカロライナ州では2016年、ソフトウェアが生成する文書を非弁行為の対象外とする立法措置が講じられました。また、2015年にはDOJ/FTCがLegalZoomを支持し、過度に広範なUPL規制を批判する声明を発表しています。
この経緯は、弁護士の関与・監督を組み込んだサービス設計は規制当局からの信頼を得やすいことを示唆しています。
米国弁護士協会(ABA):Formal Opinion 512(2024年7月)
ABAは2024年7月、生成AIに関する初の倫理指針「Formal Opinion 512」を公表しました。同意見は以下の義務を弁護士に課しています。
- AIに関する能力義務(ABA Model Rules Rule 1.1):弁護士はAIツールの仕組みを理解する義務がある
- インフォームド・コンセント(Rule 1.6):AIへのデータ入力に関して依頼者の同意を得る義務
- ハルシネーション対策(Rule 3.3):AI出力の正確性を検証する義務
- 事務所全体のAIポリシー策定義務(Rules 5.1/5.3)
これらの義務は、AILEXの設計思想──「弁護士が自ら精査・修正する前提のツール」──と完全に整合します。
EU AI規制法(2024年8月発効)
EUのAI規制法(AI Act)は、「法律の解釈及び適用の支援」を高リスクAIシステムに分類しています。高リスクAIには、市場投入前の適合性評価、リスク管理システム、技術文書、透明性要件、人的監視要件が課されます。完全適用は2026年8月です。違反時は最大**3,500万ユーロ又は世界年間売上高の7%**の制裁金が科されます。
日本の弁護士法のアプローチ(弁護士の監督下での利用を条件とする)は、EU AI規制法の「人的監視要件」と方向性を同じくしています。
英国:SRA Garfield AI ── 世界初の純AIドリブン法律事務所
2025年5月、英国のSolicitors Regulation Authority(SRA)は、世界初の純AIドリブン法律事務所「Garfield AI」を認可しました。ただし認可には、資格を持つ弁護士がすべてのAI出力に最終責任を負うことが必須条件とされています。
この事例は、グローバルなコンセンサスを端的に示しています。AIは弁護士の判断を代替するものではなく、補助するものである。最終責任は弁護士が負う──この原則は世界共通です。
2026年の規制動向 ── 法務省ガイドライン運用見直しへ
規制改革推進会議(2026年1月9日)の決定
2026年1月9日に開催された規制改革推進会議(第6回デジタル・AIワーキング・グループ)において、法務省は2023年に策定したAI契約書レビューサービスに関するガイドラインの運用見直しを正式に表明しました。
タスクフォース設置による段階的課題解決の方針が示され、2026年6月を目途に最終提言がまとめられる予定です。さらに、立法措置の可能性も議論されています。
各ステークホルダーの立場
規制改革推進会議では、様々なステークホルダーから以下のような意見が示されました。
- 経団連: AI活用による年間4,000時間の効率化効果を実証。規制緩和を強く要望。
- AI・リーガルテック協会: 「第3世代」AIエージェントに対応したより明確なガイダンスを要望。
- 日本組織内弁護士協会(渡部弁護士): ミクロ的な解釈論から、マクロ的なAIガバナンスへの移行を主張。
- 早稲田大学・石田教授: 1933年制定の法律は「事件屋」対策として設計されたものであり、現代のAIには不適合と指摘。
この動向は、規制環境がAIリーガルテックに対して緩和の方向に向かっていることを示しています。AILEXは、現行のガイドライン要件を満たしつつ、将来の規制変更にも柔軟に対応できる設計を採用しています。
AI推進法(2025年9月全面施行)の影響
人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI推進法)は理念法ではありますが、AI活用推進の基本方針を示すものとして、弁護士法の解釈にも影響を与え得ます。AI活用を積極的に推進する国の姿勢は、弁護士法第72条の解釈において、過度に制限的な立場を採りにくくする方向に作用すると考えられます。
AILEX の具体的な安全設計 ── コンプライアンスを支える技術
AILEXは、法的コンプライアンスを技術的に担保するため、以下の設計要素を実装しています。
1. ロールベースアクセス制御(RBAC)
| ロール | 権限 |
|---|---|
| admin | システム全体の管理、ユーザー管理、監査ログ閲覧 |
| attorney | AI法律相談、AI文書生成、ファクトチェック、事件管理、文書管理の全機能利用 |
| paralegal | 弁護士の指示・監督下での限定的なAI機能利用 |
| staff | 文書管理・事件管理の補助的利用に限定 |
弁護士資格のないユーザー(paralegal/staff)は、弁護士の監督下での利用に限定されます。
2. 免責事項の多層的表示
- システムプロンプト: AI自体が「参考情報」であることを認識し、回答に根拠(条文・判例等)を示すよう設計
- UI上の注意書き: AI機能の各画面に「弁護士が精査・修正する必要がある」旨を表示
- 利用規約: AI出力の性質、弁護士の精査義務、禁止事項を明記
3. PIIマスキング ── 守秘義務の技術的担保
前述のとおり、AILEXのPII自動マスキングシステムは、外部APIへの送信前に個人識別情報をプレースホルダーに置換し、応答受信後に復元する仕組みです。この仕組みにより、日弁連情報セキュリティ規程第5条の「送信」段階における安全管理措置として高く評価できる設計となっています。
4. 包括的監査ログ
すべての重要操作が記録され、「いつ」「誰が」「どのデータに」アクセスしたかを追跡可能です。これにより、弁護士による精査・修正の記録を残すことが可能となり、法務省ガイドライン第4項の要件(「自ら精査」「自ら修正」)の充足を事後的に証明する基盤となります。
5. ファクトチェック機能 ── ハルシネーション対策
AILEXは、50以上のリーガルテックサービスを調査した結果、AIファクトチェック機能を実装している唯一のサービスです。この機能は、Perplexity APIを活用してAI出力の正確性を検証し、弁護士が精査を行う際の補助情報を提供します。
ABA Formal Opinion 512が指摘する「ハルシネーション対策」義務への対応として、このファクトチェック機能は重要な役割を果たしています。
日弁連の動向 ── 生成AIガイドラインの検討状況
日弁連は2023年6月にAI戦略ワーキンググループを設置し、弁護士業務への生成AIの影響を包括的に検討しています。2025年には会員限定資料「弁護士業務における生成AIの利活用等に関する注意事項〜適切な利活用に向けた5つのポイント」を公表しました。
この「5つのポイント」は以下の領域をカバーしています。
- 守秘義務・秘密保持の確保 ── 外部AIへの秘密情報入力の制限、AI学習利用リスクの回避
- AI出力の正確性の検証義務 ── ハルシネーション対応、原典での裏付け
- 情報セキュリティの確保 ── 利用規約・プライバシーポリシーの精査、オプトアウト設定確認
- 著作権・知的財産権への配慮 ── AI出力物の著作権侵害リスク
- 個人情報保護法の遵守 ── 個人データの適法な取扱い
日弁連は「公式な見解を示すものではない」と付記していますが、事実上の準公式指針として業界に受容されています。
なお、日弁連の2025年度会務執行方針では、「弁護士がAI技術を利活用したとしても、導き出された結果を法の理念や趣旨に基づいて常に検証していかなければならず、弁護士も思考することを止めてはいけない」との姿勢が示されています。AILEXは、この原則に沿った設計──AIは「考える材料」を提供し、「考える」のは弁護士である──を一貫して採用しています。
まとめ ── AILEX の適法性を支える5つのレイヤー
以上の分析を総合すると、AILEX SaaSの弁護士法適法性は、以下の5つのレイヤーによって多層的に支えられています。
レイヤー1:事件性の不在
法務省ガイドライン第2項および最高裁判例に基づき、通常の企業法務における契約業務の多くは「事件性」がなく、そもそも弁護士法第72条の規制対象外です。
レイヤー2:セーフハーバーの充足
たとえ3要件すべてに該当する場合でも、弁護士が「自ら精査」「自ら修正」する方法で利用する限り、法務省ガイドライン第4項のセーフハーバーにより72条違反とはなりません。AILEXは、利用者を弁護士に限定し、AI出力に免責事項を付し、弁護士の最終判断を前提とする設計でこの要件を満たしています。
レイヤー3:守秘義務への技術的対応
PII自動マスキングシステム、ZDR対応可能なAPIプロバイダーの選定、通信暗号化、テナント分離により、弁護士法第23条の守秘義務および日弁連情報セキュリティ規程の要件に対応しています。
レイヤー4:規制トレンドとの整合
2026年1月の法務省によるガイドライン運用見直しの表明、AI推進法の施行、経団連・リーガルテック業界からの緩和要望は、規制環境がAIリーガルテックに対してより明確かつ緩和的な方向に進んでいることを示しています。
レイヤー5:国際的コンセンサスとの一致
DoNotPayの教訓、LegalZoomの経験、ABA Formal Opinion 512、EU AI規制法の人的監視要件、英国SRA Garfield AIの認可条件──いずれも「AIは弁護士の判断を補助するものであり、最終責任は弁護士が負う」という原則で一致しています。AILEXの設計はこの国際的コンセンサスに完全に整合しています。
おわりに ── 法務DXの未来に向けて
日本の法律事務所の99.3%は弁護士20名未満の小規模事務所です。これらの事務所にとって、AIは業務効率化と品質向上を両立させる不可欠なツールとなりつつあります。
AILEXは、弁護士法の各条文を尊重し、法務省ガイドラインのセーフハーバー要件を技術的に担保することで、弁護士の皆さまが安心してAIを業務に活用できる環境を提供します。同時に、規制環境の変化を継続的にモニタリングし、サービスを柔軟に調整してまいります。
2026年6月に予定されている法務省の最終提言、さらには日弁連の正式な生成AIガイドラインの策定など、今後も重要な動きが続くことが予想されます。AILEXは、これらの動向を注視しながら、法務業界のDX推進に貢献してまいります。
免責事項
本記事は、AIリーガルテックと弁護士法の関係に関する一般的な法務情報の提供を目的としたものです。本記事の内容は法的助言を構成するものではなく、個別の法律問題について判断を提供するものでもありません。弁護士法の解釈は個別の事実関係によって異なり得るため、具体的な法律問題については必ず弁護士にご相談ください。本記事は2026年2月時点の情報に基づいており、法令・ガイドラインの改正や新たな判例等により評価が変わる可能性があります。
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